テラーノベル
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別れると決めた。
でも、その日からすぐに離れられるわけじゃなかった。
ヤマが就職先の寮へ引っ越すまでは、あと少しだけ時間があった。
だから私たちは、同じ家に住みながら、別々の時間を過ごすようになった。
私は仕事が終わっても、すぐには帰らなかった。
友達とご飯へ行ったり、一人でカフェに寄ったり。
何かしら予定を入れて、ヤマが寝る頃に帰るのが日課になった。
ヤマも気を遣ってくれていた。
友達と飲みに行く日を作ったり、なるべく家にいない時間を増やしてくれたり。
お互いがお互いを避けるような生活だった。
朝起きると、いつも隣にいたはずのヤマがいない。
ベッドを見ると、布団はきれいなまま。
床を見ると、小さく丸まって眠っている。
その姿を見るたび、胸が苦しくなった。
これでいい。
これでよかった。
何度も自分に言い聞かせる毎日だった。
コメント
1件
第41話、拝読しました。「同じ家に住みながら別々の時間を過ごす」という選択が、もう終わると決めた二人の優しさと寂しさを同時に映していて、とても切なかったです。特に、朝起きたときにヤマさんが床で丸まって寝ている描写――あれが一発で胸に来ました。布団がきれいなままなのに、そこにいない違和感。距離を取りたくて取ってるのに、その距離が余計に苦しい。構造として、避け合う生活を淡々と描写するスタイルが、感情の重みを増してるなと感じました。次が気になります。
東 桃子
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