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王城を出てから数時間後。 私を乗せた馬車は港へと辿り着いた。
私はゆっくりと止まった馬車から降りて、鬼の国。【神月】行きの大型客船が停車している場所へと向かい歩き始めた。
海岸沿いの道を少し歩いて、私は鬼の国。
【神月】行きの大型客船の前まで来て足を止める。
「この船ね」
私は目の前にある大型客船を見上げて呟き、船に乗り込む為、再び歩き始めた。
王城を出てから数時間後。
私を乗せた馬車は港へと辿り着いた。
私はゆっくりと止まった馬車から降りて、鬼の国。【神月】行きの大型客船が停車している場所へと向かい歩き始めた。
海岸沿いの道を少し歩いて、私は鬼の国。
【神月】行きの大型客船の前まで来て足を止める。
「この船ね」
私は目の前にある大型客船を見上げて呟き、船に乗り込む為、再び歩き始めた。
船内の中に入ると沢山の人で溢れていた。
私は船内を歩きながら、行き交う人々を横目に見て、客室へと足を進める。
「209号室、ここね」
予約していた客室の前にたどり着いた私は部屋のドアにある客室番号が書かれたルームナンバープレートを見てから、鍵を開けてドアノブに手を掛けてドアを開ける。
「やっと、この重たい荷物を置けるわね」
部屋の中は思ったよりも広々としていた。
割とデカめのベッドが部屋に入ってすぐのドア側にあり、ベッドの前には棚が置かれていた。
「これ、一人部屋なのよね? 二人部屋並みの広さね、何か落ち着かないわ……」
広い部屋の中で、独りポツリと呟きながら、手に持っていた重たい荷物をカーペットが敷かれたベットの側の床に置く。
「疲れたわ、鬼の国に着くまでゆっくりしましょう」
私は目の前にある白いベッドに倒れ込み、疲労感のある身体を白いベッドに預けた。
時折、廊下から聞こえる人の足音が私の耳に届く中、私は徐々に意識を手放していった。
❀❀❀
船内アナウンスの声で目を覚ました私はベットからゆっくりと起き上がり壁に掛けられている時計を見ると時刻は1時になっていた。
「もう1時なのね」
まだ昼食を食べていないからか、空腹感が押し寄せる。
私はベットから立ち上がり、財布を手に持って客室である部屋を後にした。
船内にある食堂に着き、食券を買い。
呼ばれるまで窓際の席に座り待つことにした私は窓から見える穏やかな雲が流れる晴れた空を見上げてぼんやりとしていた。
「どんな方なのかしら……」
鬼の国【神月】の王。
陛下 から聞いた話しによると鬼の国の王は冷酷で人間が嫌いであるらしい。
冷酷で人間嫌いってことだけでも上手くやっていけなさそうだ。
私はまだ会ってもいない鬼の国の王に不安を感じながらも自分自身にきっと大丈夫よ、上手くやっていけるわ。と言い聞かせたのであった。
❀❀❀
鬼の国神月に船が辿り着いたのは私が船に乗ってから3日経った昼過ぎ頃だった。
「とうとう来てしまったわ……」
船から降りた私は目の前の鬼の国神月の港の風景を見つめながら呟く。
港はざわめきに満ち、まるでひとつの巨大な市場のように活気づいていた。
赤や紫、漆黒の布を張った露店が所狭しと軒を連ね、香辛料のような刺激的な香りと焼いた肉の匂いが風に乗って漂ってくる。
和太鼓と笛の音がどこからともなく響き、商人や頭に角を2本生やした老若男女が行き交う鬼人達の声が飛び交っていた。
建物は石と木と金属が奇妙に組み合わされてできていて、屋根には竜や獣の彫像が飾られている。窓という窓には色とりどりの布が下がり、まるで港そのものが生き物のように脈動しているようだった。
そんな鬼の国の港。
神月の空気を感じながら、私は事前に陛下から言われた鬼の国の王城まで同行してくれる者が来るというお迎え場所へと向かう為に鬼の国神月の港を歩き始めた。
鬼の国の王城まで同行してくれる者が迎えに来るという場所にある公園前まで辿り着いた私は辺りを見回してまだ来ていないかを確認する。
「まだ来てなさそうね」
そう呟いてから数秒後、こちらに向かって金髪に紫色の瞳をした青年が走ってくる。
「はぁ、はぁ、大変申し訳ございません。お待たせしてしまいまして。えっと、神坂美月様ですよね?」
金髪に紫色の瞳をした青年は私の前へと来るなり、息を切らしながらそう問い掛けてくる。
「はい、神坂美月と申します」
私がそう返すと金髪の青年はやっと息の荒さが落ち着いてきたのか、余裕ある笑みを溢していた。
「では、美月様、陛下がいる王城まで案内致します」
金髪の青年の言葉に私は頷き返して、金髪の青年の後ろをついて歩き始めた。
王城までの同行者である金髪の青年と共に王城へと向かい歩き始めてから数十分が経過したであろう頃、私は鬼の国の王城へと辿り着いた。
「此処が鬼の国の王城……」
私の目の前に聳え立つ、鬼の国の王城。
赤黒の瓦を重ねた十層の楼閣が、濃霧の中にそびえ立っていた。
王城――鬼の国を治める覇王の居城は、天を衝くような高楼と幾重にも巡らされた石壁に守られている。
その造りは中原の宮殿建築に似ていながらもどこか異様だ。
獣の頭を模した棟飾り、赤銅の燈籠に灯る青白い火、風に揺れる黒い幔幕には古代文字で呪が縫い込まれていた。
正門には角を持つ鬼兵である青年の二人が槍を構え、無言で立ち並ぶ。
その瞳は紅玉のように冷たく、ただ命令のままに動く人形めいていた。
「門が開くので少しお下がりくださいませ」
「わかりました」
低く唸るような音とともに、鋼鉄ごとき黒の正門が鬼兵二名の青年の手によってゆっくりと開かれ始めた。
厚さ数尺はある鉄の扉が、重力に逆らうようにきしみながら内側へと引かれていく。
その隙間から滲み出すのは、血と硫黄の混じったような異界の気配。
冷たい風が外へ吹き出し、城下の空気を一瞬にして凍らせた。
「では、玉座の間までご案内致しますので、ついて来てください」
「はい」
私は青年と共に正門を潜り抜けて、鬼の王がいる玉座の間へと向かい再び歩き出したのであった。