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《君の存在が半透明だとしても》
side 志倉唯
放課後、私は成瀬君に呼ばれたので行ってみることにした。
何故か成瀬君は綺麗で半透明だった。
「ごめん、こんな時間に呼び出して」
『気にしてないですよ、それより話って何ですか?』
「唯の声を奪ったのは_」
成瀬君は少し間を開けてから話した。
私は、多分成瀬君の言いたいことが分かっていたのかもしれない。
「俺、なんだ。」
『そう、だったんですね。』
「本当に、ごめん…ごめんなさい」
『何となく、分かってました。でも嬉しいです。隠さずに成瀬君の口から…自分から言ってくれたので。』
「なんで、そんなこと言うんだよ。本当は恨んでいるんだろ?」
「こんな最低なことをしてさ、良くそんな言葉が出てくるよな。」
私は、何故成瀬君が怒って、そんな顔をしているのかが分からなかった。
『確かに、成瀬君の言っていることは正しいです。』
『でも、私思うんですよ。そんなことして私の気持ちは晴れないし、成瀬君の心だってずっと縛られて生きていくんですよ?』
『そんな悲しいことは、私は嫌です。たとえ成瀬君にとってはいいことだったとしても私は止めます。』
「…なんで、俺にそんな希望の言葉を言ってくるんだよ。」
『成瀬君の声を聞いてくると、何故か落ち着くんです。』
『”変”って思いますけど、多分私、成瀬君が居なくなったら嫌なんですよ。』
『成瀬君、何か悩んでいるのなら私で良ければ聞きますよ。』
『たとえ、誰も成瀬君のことを聞いてくれなくてもそして成瀬君の声が誰にも届かなくても。』
『私は探します、探し続けます。成瀬君が”消えたくなっても”、”この世からいなくなっても”探し続けます。』
「唯、俺は_」
『だから、成瀬君は自分自身のことを許してあげてください。そうしないと成瀬君はもう持たないですよ』
「……話、聞いてくれるか?」
『何時間でも、聞きますよ。なので楽になるまで話してください、ずっと傍にいますよ』
そう、言って成瀬君の気持ちを私の家で聞くことになった。
成瀬君は楽になったのか、いつの間にか眠ってしまっていた。
“成瀬君、話してくれてありがとう”