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宿儺の圧倒的な力に、伊之助と善逸は既に戦う力を失っていた。二人は地面に倒れ込み、息も絶え絶えで、宿儺の次の攻撃を受け入れる準備をしているようだった。だが、その時、突如として新たな気配が戦場に流れ込んできた。空気が一変し、冷たくも華やかな気配が二人の周囲を包み込んだ。
「ほぅ…」宿儺がその気配を感じ取ると、目を細めた。「また新たな挑戦者か?」
その気配の主が姿を現したのは、まさにその瞬間だった。風が舞い、光が歪み、現れたのは、白い華やかな装束に身を包んだ男。彼の顔には常に不敵な笑みが浮かんでいた。その男の名は、童磨。
「こんにちは、宿儺さん。」童磨はその場で軽く手を振りながら言った。「お久しぶりですね。」
「童磨か。」宿儺の目が冷たく光る。「お前、何しに来た?」
「ええ、まぁ、少しばかり、遊びに来たんです。」童磨は気だるそうに答えたが、その眼には何か別の意図が宿っているのがわかる。「あなたの圧倒的な力を目の当たりにしたくて、ね。」
宿儺は一瞬考え込み、冷笑を浮かべた。「遊びだと?そんなものに付き合うほど、俺は暇じゃない。」
その言葉を聞いても、童磨は余裕の表情を崩さなかった。「まぁ、遊びのつもりではありますけど、少しだけお力を借りようかと思って。」
その時、童磨は小さく手を振りながら、さらに言葉を続けた。「僕、少し邪魔をしてもいいですか?二人とも元気そうだし、少しだけ生き延びさせてあげますよ。」
突然、空気が一変し、無数の氷のような結晶が空から降り注ぐ。その美しい氷の結晶が、空間を切り裂くように散らばり、宿儺を囲んでいった。氷はただの装飾ではなく、凶暴な力を秘めており、宿儺の力を封じ込めようとしていた。
「これで、少しはおとなしくしてくれると嬉しいんですけどね。」童磨は、その余裕を見せながら言った。
宿儺はその氷の結晶が周囲を囲み、彼の動きを封じ込めるのを感じた。しかし、宿儺は冷徹に笑みを浮かべ、指先を動かすと、その氷の一部が粉々に砕け散った。「遊びは終わりだ。」
だが、童磨はそれを予測していたかのように、微笑んだ。「おっと、そんなに早く遊びが終わってしまっては困りますよ。」
その瞬間、さらに大量の氷の結晶が宿儺を中心に放たれた。そして、二人の間に無数の氷の壁が立ちはだかる。宿儺の目が鋭く光り、彼はその氷壁に向かって手をかざした。しかし、次の瞬間、童磨が姿を消し、無数の氷の中から現れた。
「どうしました?まさかお疲れですか?」童磨は宿儺に向けて挑戦的な笑みを浮かべ、冷徹な目を宿儺に向けた。
その瞬間、宿儺の体を貫くように強力な力が放たれた。それは、善逸と伊之助が必死に放った攻撃だった。二人はまだ立ち上がりきれない状態だったが、その最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けていた。
善逸の雷の呼吸と、伊之助の猛攻が宿儺に襲いかかったが、宿儺はそれらの攻撃を一瞬で受け流し、その攻撃を無力化した。だが、その瞬間を狙った童磨の凶暴な氷の刃が宿儺に迫った。
宿儺はその攻撃をギリギリで回避したが、氷の刃が少しでも肌をかすめると、激しい痛みが走った。「愚か者たちが…!」
「何か反撃をお楽しみですか?」童磨はその様子を見て楽しげに笑っていたが、その笑みの奥には冷徹な目的が隠れているように見えた。
宿儺はその場で再び怒りを爆発させ、周囲の空間が歪み、すべてを圧倒する呪力を放った。周囲の氷が砕け散り、空間が裂け、激しい衝撃波が発生した。
「そんなことをしても無駄だ…!」宿儺の声が轟き、空間に響き渡る。
その圧倒的な力の前に、伊之助と善逸は倒れ、力尽きた。童磨もまた、宿儺の力に一歩引いたように見えたが、彼の目には確かな計算があった。
「面白くなってきましたね。」童磨は冷ややかに微笑みながら呟いた。