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三人が扉をくぐると、そこは「選択の間」と呼ぶのがふさわしい、不思議な空間だった。
広がる闇の中に、ぽつりぽつりと浮かぶ光の球。それぞれが「過去の記憶」や「未来の断片」を映して揺れている。
やがて、白い仮面をつけた観測者が姿を現す。
観測者「よくぞ辿り着いた。“異界の魂”よ。“在地の血脈”たちよ。」 観測者「ここにたどり着いた者に問う。“己の本当の望み”とは、何か?」
モルグは、意識の奥に呼びかけられるような感覚を覚える。
観測者「この世界には、“綻び”がある。放置すれば全ては滅びへ向かう。
だが、綻びを繕う“鍵”となるのは――“おまえ”だ。」
モルグ「……なぜ俺なんだ? 本来この世界の人間じゃない俺が」
観測者は静かに首を振る。
観測者「“他者となり、新たな幸福を紡ぐ資格”は、現世で何かを失い、後悔と共に生きる者にだけ与えられる。 お前は“もう一度生まれ直す”ことを選び、この世界で試練を受けているのだ。」
リバも、ザラも、思いを吐露し始める。
リバ「……私は家族を救えなかった。だから今度こそ、誰かを守り抜くと誓って生きてきた」 ザラ「オレは族の誇りを継ぐ使命。それがどこか“見張られている”ような感覚と繋がっていたのか……」
観測者「“扉”を越えるには、各々が“失ったもの”“叶えたい未来”を選択しなければならない」
周囲の“光の球”に、三人それぞれの幻想――
モルグには「現代日本の自分と、救えなかった友人の姿」
リバには「かつての家族と寄り添う自分」
ザラには「仲間と共に笑い合う族の未来」
が、時折微かに浮かぶ。
モルグ(……俺は、もう一度あの世界で“しあわせ”になれるのか?)
この世界で得た仲間や絆、でも“自分の使命”は何なのか――
その答えを、三人それぞれ見つけなければ“扉”は開かない。
観測者「もう一度問おう。“おまえたちの本当の望み”は何だ?」
全員が沈黙したまま、ゆっくりと自分の心に向き合い始める。
***
一方、選択の間の影で、別の観測者同士がささやき合う――。
「さて……彼らは“この世界”に残るか、それとも“本来の座”へ戻るか」 「真に“幸福”をつかむ者こそ“鍵”を継ぐ資格があるのだからな」
物語は、いよいよ三人の“選択”と、“本当の望み”に向かって動き始める――。