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闇の中に浮かぶ“光の球”―― それぞれの過去、後悔、願いが目の前に映し出されるまま、沈黙が続いていた。
モルグは手のひらに浮かぶ光をじっと見つめる。
そこには、現代日本の自分が後悔とともに立ち尽くす姿。
救えなかった友人。誰にも言えなかった想い――
(僕は……ただ後悔から逃げたかっただけなのか?
この世界に来て、みんなと出会ったからこそ、初めて“自分の価値”を信じてみたいと思えたのに)
リバの前にも、自分を庇って消えていった家族の幻が揺れる。
リバ「私が強くなれば、誰かを守れる。そう思ってここまで来た――
……でも、それが悲しみの連鎖を生んだだけなら?」
ザラの目に映るのは、一人誇りに縋っていた幼い自分。
ザラ「誇りを守ることが、仲間を守ることになる……でも、おれは本当にみんなの力になれてるのか?」
観測者がそっと促す。
観測者「お前たちが背負うのは、“過去の罪”ではない。“これから選ぶ未来”なのだ。」
沈黙のあと、リバがぽつりと言う。
リバ「……私はもう、過去の自分ばかり見て歩くのはやめます。
この世界でもう一度、誰かのそばで笑っていたい。――それが私の、本当の望みです」
ザラも頷き、
「おれは、“みんなで笑える未来”がほしい。それがどこでも――この世界でも、何かを失っても作れるなら、それで戦う意味がある」
そしてモルグ。
「……僕は、ようやく分かった。
誰かのために何かをすること――それが幸せのカタチなら、
この世界に留まっても、元の世界に戻っても、僕は“誰かの笑顔”のために生きていきたい。
そして、もしもう一度やり直す機会があるなら……今度こそ、自分の人生を大切に生きていくよ」
静かだった空間に、三人の“本心”が響き合う。
観測者「……よくぞ到達した、その心の在り方こそ“扉”を開く鍵。
だが、今ここで選べ。“どちらの幸せ”を求める?」
闇の中、ふたつの道が浮かび上がる。
ひとつは――この世界に残り仲間と生きる道。
もうひとつは――元の世界に戻り、別の人間として人生をやり直す道。
強い光が三人を包み、“扉”がゆっくりと開き始めた。
(僕はどうする? もう一度、誰かと――幸せをやり直すのか?)
迷いと期待を胸に、三人は一歩進み出す。
***
一方、“観測者”たちは静かに見守っている。
「さて……彼らの選択が、“この世界”の未来も、“異界”の明日も左右する」
「やがて本当の意味で“幸せ”を掴む資格のある魂だけが、新しい扉の先へ進めるのだ」