"なぁ、仁人ってさ俺のどこが好きなの?"
突然何を言い出すかと思えば今更どんな質問してんだよ。そもそも俺がお前に直接言えるような性格じゃないの知ってんだろ…
「え、ん〜…優しいところじゃね?」
「なに他人事みたいに言ってんだよ笑」
「他に思い浮かばないわ」
「はいはいそーですか」
こういう時こそ!とは思うがやっぱり恥ずかしくて無理。俺の愛伝わってないのか…?それもそうか、未だにお前の仕草一つ一つにドキドキしてるような俺が、愛を言葉にするということがどれほど恥ずかしいことか…ほんと自分に呆れる。しかも俺が答えたあと勇斗のあの顔…やっぱ悲しいよな
ふと気になって仁人に投げかけた質問。あいつの事だから恥ずかしがって言えないかなとは思ったけど、流石に長い付き合いなんだし2つや3つあるだろとそう期待したがなんだあれ。他人事みたいに言いやがってよー…勇斗くん泣いちゃうよ?俺はいつも「愛してる」とか「可愛いね」とか言ってるのに、恥ずかしがり屋の仁人さんからは言われたことない。
(多分これからもないだろうなー…)
まぁ、そんなこともあって今日は少し元気が無い。仁人が答えた時、自分でも「やべ顔に出た」って気づいた。仁人が気づいているかは分からないけど…
「佐野さ〜んここの個人カット撮るんで、お願いしまーす!」
「あ、了解です!」
流石にこの顔で撮影はやばいと思い、1度鏡の前で笑顔を作って再確認してから撮影現場に向かった。
「舜太最近柔太朗といい感じだね」
「ほら、俺って思ったことすぐ口にでるやん?それが逆に言いのかもしれんな」
「やっぱそうだよなぁ…伝えるのって大切だと思うけどなかなか俺言えないんだよね」
「なーに恥ずかしがってるんよ笑仁ちゃん、はやちゃんのどこが好きなん?」
「え〜…優しいところ?」
「例えば? 」
「俺が迷ってる時に勇斗がもう1つの方選んでくれるところとか」
「お、他には?」
「俺が体調崩した時に一晩中面倒見てくれるところとか」
「そんでそんで?」
「仕事帰りに俺の好きなもの買ってきてくれたり、髪乾かしてくれたり、ハグとか…寝る前キスしてくれたり…」
「おー、すごいな笑さすがだわ…そんで仁ちゃんは何したいん?愛する人にさ!」
「そりゃあ、俺も勇斗にもっと甘えたいって思ってるよ 。俺だって"好き"とか"愛してる"って伝えたいし、ハグもキスも俺から出来たらいいのにって思ってはいるんだけど…」
「笑そっかそっか、仁ちゃんはほんまにはやちゃんが好きやねんな〜」
「そりゃそうですよ。世界一愛してる人なんでね」
「〜〜!!!」
「〜笑」
「〜〜!笑」
個人撮影が終わり、楽屋に戻ろうとすると舜太と仁人の話し声が聞こえる。何話しているのか気になって耳を立てていると、
“ハグもキスも俺から出来たらいいのに…世界一愛してる人なんで…"
はい?え?そこで話している人はほんとに吉田仁人なのだろうか。まさか仁人がそんなこと思ってたなんて、必然と全身に熱がこもる。一通り話が終わったのを感じ楽屋に入った。そして座っている仁人に後ろから抱きつき、この嬉しさと共に伝えた。
「仁人、愛してるよ」
いきなり後ろから抱きつかれ"愛してる"なんて…驚きすぎて硬直状態。3秒経ってからやっと状況を理解した。
「ほら、仁ちゃんも?」
そう言って舜太が俺を煽った。しかし言いたいと思う気持ちと反対に言葉は違う方へ。
「んーはいはい。」
「おいー仁ちゃーん」
そんな適当な返事をしても何故か勇斗の口角は上がったまま。何がいいのか疑問に思っていたら、他のメンバーも帰ってきた。もちろん楽屋にみんな揃うとそれはもう、ご想像通り動物園状態で…みんな一斉に口を開く。
「俺のこのカットイケてない?」
「太智それ自分で言う?笑」
「言っちゃう笑」
もはや誰と誰が話してるのか分からない。俺は1人しょうもないことで悩み込んでるし…ほんと舜太みたいに思ったことが言えたらいいのに。言わなかったら伝わらないだろ、そう自分を責めたてた。すると、それを察したように舜太が言った。
「あ、ほら仁ちゃん、はやちゃんに伝えたいことあるんよな?笑」
「ん?なんかあんの仁人」
え、そんな急に振られても無理だろ…
「な、なんもないわ」
そう言うと舜太に分かりやすく大きなため息をつかれた。
あーもう分かったよ…
「勇斗」
「ん?」
「愛してるよ」
そして、もうどうなってもいいという勢いで勇斗を引き寄せキスをした。
「え!?」
end.
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