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我慢ができなかったんや。辛そうに、呼吸を繰り返す姿を見てどうしよなんて思ったし、僕が言う権利ないのもわかっとる。それでも、それでも!あの一言は許せんかった。
僕はとある寄宿学校に通ってたんや。その寄宿学校には有名人が6人いたんやね。
一人目、一年生にして絶大的な支持を持つ男。
二人目、一人目を支えサポートとして活躍する男。
三人目、明るく男女ともに圧倒的な信頼を持つ男。
四人目、無口やけど圧倒的な技術で信頼を勝ち取った男。
五人目、謎に大人なオーラを発する明るい男。
六人目、冷静かつ無口無表情の謎しかない男。
僕はその六人と同学年なんやけど、全員とクラス違ったけん。彼らのことを聞くのは噂しかなかったん。いや、なかったはずなんよ。一人目が一年生にして生徒会長に立候補。そして見事当選。そんな奇跡があるんや。と他人事に思ってたけ。僕の学校は生徒会長が会計やらを選ぶ方式なん。同じく一年生で生徒会長に立候補した二人目を副会長に任命。これはまたとない生徒会になりそうや。そう学校中が盛り上がっていた中。
「会計になる気はない?」
生徒会長に声をかけられたのは今でも鮮明に覚えてるわ。何か裏がありそうな顔で何の変哲もないただの僕を誘ったんやから。そりゃ学校中で話題にもなるわな。そう思いつつも、何も変わらへん自分に嫌気がさしてるのもあって会計になってはみた。
まぁ、それからの生活は楽しかったんよ。
書記に選ばれたんは五人目で、書記次長に選ばれたんは四人目やった。それ以外にも三人目と六人目もたまに生徒会室に謎に来ては楽しく雑談したんを今でも覚えとるわ。そんな日々は四季と共に流れ落ちとって、一瞬で卒業式を迎えとった。クラスが同じになることはなかったけん。それでも友達と呼べるくらいには仲良くなっとった。そして、一番川っとったのは六人目。
最初はあんなに無口で、無表情で、冷たかった謎の男だったやけ。段々変わってきとった。最後の冬にはみんなで笑って、笑顔で話しあっとった。これが幸せなんやな、って心から思ってたんよ。でも、六人目はまだ傷ついてるんを、僕らは今でも見ぬ見ぬふりをしてた。全員で、笑顔で裏からも卒業しよなって六人目を省いて約束していたあの日、一人目がそういった。それでも唯一一人やけ。できない人がおったんや。それが、六人目。
どう足掻いてもどこからか漏れが出て、場所がばれてしまうんや。足抜けするなら完璧に足抜けしないと殺される。そう語ったんは六人目を仲がいい二人目だった。諜報員として、六人目とバディを組んできた彼には僕以上に抱えてるもんってもんがあるんやろな。って勝手に考えてた。
それで、当たり前のように時は過ぎていってるんよ。葉が枯れ落ちて、新たに葉を生やしてる。晴れ晴れとした朝日が僕らを照らすとき、僕は隠れたくなってもうた。僕が、友達一人の苦しみを一緒に味わえない僕が、光の元を歩いていいのか、と。時を止めたくなった。でもそれは世界は許してくれんかった。当たり前のように1日1日は過ぎ去っていくん。そしてだんだんと暗くなっていく六人目に僕はついに、言葉を返すことができなかった。
人として最低なことをしてた僕は、また会って謝罪をしたかった。一生許されるべきことではないし、許されると思ってない。でも、罪をそのままにしたくないんよ。だから会えた時は泣きそうになった。また、会えるんや、って。謝罪ができるんや。って。でも覚えてなかったんな。だから、嘘をついたんよ。「依頼が被っている」なんて。いきなりやったから、二人って咄嗟に言ってしまったやけ。でも、二人ともダッシュで行くって言ってくれとった。僕らは、期待を裏切った。でもそれでも!あの時の君の笑顔はすごく幸せそうやったんやで?覚えとるか。だから、僕らが悪かったとしても、そんなこと言わんといてよ。
僕が言う権利もないけど、それでもその一言は許せなかった。
わがままでごめんなさい。それでもあなたは、みんなと出会ったからあんなに幸せに笑顔になれたんやん。だから、なんでそんなこと言うん?なぁ。
NEXT 12月12日