12
「さすがは、あたしの師匠! 連続アルマーダ、もー、かんっぺきに決まったね! こりゃあ、ばっちし、戦闘不能でしょ!」
敵が倒れて緊張が解けたのか、ジュリアの声にもう曇りはなかった。
するとしだいに、銀服の銀の衣装が薄らいでいく。ほどなく衣装は完全に消滅した。
姿を現したのは、少女だった。
少女は幼く、ジュリアと同年代と見えた。艶やかな髪は漆のような黒色で、前は額が出ており、後ろは首の中ほどまでの長さだった。
小さくて細顎の顔は、雪のように白い。整った目や鼻も小振りで、少女の繊細で儚げな印象に一役を買っていた。
服装は、光沢のある青を基調とした半袖長ズボンである。腰には帯が巻かれており、そのままでは開く胸元を白い紐で括って留めていた。美しくはあるが、武道着としても通りそうな感じだった。
「中身、女の子だったの? あたしてっきりむさくるしいおじさんだと……」
驚きで声を弾ませたジュリアは、ぱたぱたと近づいていった。離れた位置からそーっと首を伸ばし、少女の身体全体を見渡す。
「一回、うちに連れてこうよ。悪者っぽいけど、なんか苦しそうだしさ。センセーの破壊キックを食らったこの子を、外には放っとけないよ」
シルバに心配げな顔を向けるジュリアは、控えめな調子で提案してきた。
「話を聞く必要もあるしそうするか。この時間だと役所も閉まってるしな。ただしジュリアは離れてるんだ。俺とシルバ君でやる」
厳粛に告げたトウゴが歩き出し、二人は少女を担ぎ上げた。