テラーノベル
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🐷🍆ダークなお話。
ご注意ください。
ご都合主義の設定です。
ご本人様達とは無関係です。
全てフィクション。
トップの注意詳細は必ず読んでください。
それでは、お楽しみください。
「っーー!ッーーーーー!!!」
蝉の音が鼓膜を揺すり、額から汗がひとつ焦げたアスファルトへ落ちた。
ポタリと色を変えたそこから、ジュッ〜と音でも出るんじゃないかと見つめていたが流石にそこまでは無いようで、つまらないなと感じてしまう。
雲ひとつない晴天で、太陽がジリジリと身体を刺してきて、あちぃーな、と顎の雫を乱暴に払った時、誰かの叫び声が聞こえた。
「ん?」
呼ばれたか?と振り返るが、そこには忙しそうに行き交う人達しかいなくて、信号機が進めと急かすメロディだけだった。
「き、のせいか?」
視線を戻し、早く渡らなければ、と周りの人混みに押されるように右足を1歩前に出した時ーー⋯⋯
『めん!!行くな!!!』
すごい勢いで手を引かれ後ろへと尻もちを着いた。
不思議とケツに痛みはなくて、鼓動だけが早くただでさえ暑いのにさらに変な汗をかく。
誰だよ!と上を見上げると、同じく汗だくで息切らしたぼんさんが立っていた。
「ぼんさん?な、何してんスか?」
「っ、はぁ、……めん、ごめん、痛かった?」
いや、別に?痛くないッスけど、てか、今日収録で会えないって言ってませんでした?とサングラスを外し汗を拭うぼんさんへ声をかける。
ゆっくりと起き上がり、恋人に会えた喜びをしっぽが伝えてくれる。パタパタと自分の意思とは関係なく揺れてしまって、俺はこれが恥ずかしいから隠したいと言ったが、ぼんさんは可愛いし嬉しいからそのままにしてよと許してくれなかった。
「…めん、………暑いし、あっちの店で冷たい飲み物飲みながらゆっくりしない?」
「いいッスね!」
今日は元々オフでぼんさんの急な仕事で会えなくなったから暇してたんだ、あぁ、なんていい日なんだ!
ぼんさんは収録がスムーズに行って早上がりしたんだよと嬉しそうに話してくれて、これからデートしようよと俺の手を引いて微笑んでくれた。
普段は、恥ずかしと中々手を繋いでくれないのに…ぁあ幸せだ。
お客さんが少ないカフェは冷房が効きすぎて少し肌寒かった。落ち着いたBGMが流れていて通された席は窓際の角、先程尻もちを着いた交差点が丸見えだった。
メニューを見て、とりあえず冷たい飲み物が飲みたいなとコーラとジンジャエールを頼む。
小腹も空いたからシェア出来る大きなハム、タマゴ、サラダのサンドイッチも一緒に頼んだ。
ぼんさんが、頬杖を付きながら「めん、どこ行こうとしてたの?予定あった?」と聞いてきて特になくてブラブラしてただけですと答えた。
「そう、なら、良かった…ここ出たら、一緒にどっか行く?」
「いいんスか!?まじ、デートじゃないですか!」
「ふふふ、中々外で遊べなかったからね、たまには、ね?」
「やった、嬉しいです…なら、どこ行こっかな〜」
明日も休みだし、1日付き合えるよ?とぼんさんは更に嬉しいことを言ってくれてもう、本当にこのまま死んでもいいと思えた。
収録の話や、ゲームの話なんかしてたら飲み物とサンドイッチが届いて2人して美味しいねと更に会話が弾む。
顔も知れた俺達は、中々外でデートなんて出来なくて、恥ずかしがり屋なぼんさんは特に首を縦に降ってくれない。それが今日はどうだろう、俺がしたい事全部にしょうがないね〜いいよと恥ずかしそうに頬を染めて頷いてくれる。
「なら、ぼんさん!俺、あそこに行きたいです」
「ん?」
「だからってさ、なんで、ここなのよ〜」
「いーじゃないッスか!!」
何度も、何度も告白して、やっと頷いてくれた思い出の場所。
電車を乗り継いで、訪れたのはメンバーで行ったプチ旅行先。
メンバーに協力してもらって砂浜に2人っきりにしてもらった…今思い出すとクサかったかも。
あの時は秋で夕日が綺麗で、今ほど暑くもなかった。
「めんって、本当にロマンチストだよな」
「ノンデリよりいいでしょ?」
「それはそうだけどさ、………あぁ、夏の海は暑いね」
靴に砂が入って気持ち悪いと2人して靴を脱いだが、夏の砂浜はフライパンの上のようで「あつぅーー!!!」と大の大人が揃って飛び跳ね、いそいそと脱いだばかりの靴を履く羽目になった。
ケタケタ笑いながら、この辺だったかな?と思い出の場所に立つ。
後ろを振り返ると、泣きそうな顔で俺を見ていたぼんさんと視線が絡む。
え?と口を開けようとしたら、「ふふ、なんか、思い出して感極まったわ…歳かな?」と視線を外された。
ぼんさんの、可愛い所が増えていく。
美味しい物を食べてる口や、怒って膨らむ頬、寂しそうに寄せる眉とか、今みたいに感動して泣きそうになる目とか…
この人といると、毎日毎日新しい表情を見せてくれて、どんどん好きになる。
「ぼんさん、俺、ずっと好きです。」
「…うん」
「………………結婚式あげません?」
「………ふふ、やっぱりロマンチストだね」
俺本気ですよ、パートナーシップ制度利用しましょう。結婚してください、俺と。
ぼんさんは俺の言葉に、目を見開き「老い先短いおじさんに、若い時間使って、本当にいいの?」と一筋の涙を落とした。
「だからですよ、俺に看取らせてくださいよ。」
「…本当に?ふふ、いいよ……その代わり…」
波の音でよく聞こえなくて、ぼんさんもう一度言ってくださいと近づく。
ぼんさんはチラリと海を見て、また悲しい顔をした。
「ぼんさん?」
なんで、そんなに悲しんでるんですか?
何か、嫌なことでもありました?
誰かに何か言われた?
誰?俺が懲らしめてあげますよ。
だから、そんなに悲しそうに微笑まないで…
「めん…」
ぼんさんの視線が俺にもどる。
伸びた俺の手を掴んで強く絡めてくれた。
今日のぼんさんは積極的で綺麗だな…。
チュッと唇に柔らかな感触がして、キスまでしてくれた。
嬉しいです、ぼんさん、所でさっき…なんて言ったの?
ザザッ…ザザッ…
「めん…ッ…めん、」
「はい、ぼんさん??どうしたんですか?」
「めんっ!!っ、」
ザザン…ッ…ザザッ…!
胸に飛び込んで来たぼんさん、なんで泣いてるんだ?と強く抱き締めた。
ザワザワする心臓。さっきまで鳴いてた蝉の声もしないし、暑さも感じない。
波の音が次第に大きくなって、ぼんさんの泣き声すら飲み込む。
聞こえない、ぼんさん、貴方の声が聞こえません。泣かないで…
「めんッ…ごめんな……」
「…え?」
顔を上げたぼんさんは、ポケットから何かを取り出して俺の手に押し付けた。
「ずっと、俺も、ずっと……めんと同じ気持ちだったよ」
「…ぼんさん?」
「………めん…ッ大好きだよ、だから、俺の分までーーーー⋯⋯」
ザザザーーーっ!!ザザっ!!!!
「ぼんさん!?聞こえません…ッ!聞こえない!」
こんなに近くにいるのに聞こえない、ぼんさんの輪郭が歪んで瞼まで重くなる、見えない、貴方の声が…顔が、聞こえない!見えない!!
「めん!!ドズルさん!めんが!!」
「っ…ぁ?」
消毒液の匂い。白い天井。
泣きじゃくったおらふくんが覗き込んでいて、俺何してたんだっけと、霞む視界と痛む頭で考えた。
「めんっ!良かった…良かった!!!」
「ど、ず、さん?」
「っ、無理に喋らなくていい、わかる?ここ、病院だよ。」
病院?
なんで?あ、れ、おれ、、何してた?
「皆で、コラボ先の視察に行く途中…信号無視の車が突っ込んできたんだ」
ドズルさんは頬にガーゼを付けていて、それを見た俺が怪我…と呟くと「かすり傷だよ。」と悲しそうに眉を寄せた。
「……本当に…良かった、めんまで居なくなったら…」
ドズルさんはそこまで言うとガタリと床に崩れ、肩を震わせ泣き出した。
足が包帯で巻かれて天井から吊るされた固定具で動けない、あ、折れてるのか俺の足。
頭も包帯が巻かれてる、腕は何とか動くが色んな管が繋がっていて思うように行かない。
床に崩れ落ちたドズルさんをおらふくんが支えて一緒になって泣いてる。
「ど、したんスか…」
みんなは?他の人は?と掠れる声で話し、自由に動かない頭をゆっくり動かす。足元でおんりーが、無表情で涙を流して俺を見ていて、視線が合った瞬間ぶわりと表情を崩した。
「め、ん、……良かった…ッ」
「おんりー、無事で、良かった…」
少しずつ事故前の記憶が戻る。
少し後ろを歩いていたおんりーとおらふくんは無傷で、俺の少し先を歩いていたドズルさんは擦り傷程度で済んでいる。
皆が無事なら良かったッスと泣き崩れるドズルさんに言おうとして、あれ、居ないなと再度部屋を見渡す。
「ッ………」
俺の視線に気付いたのか、おんりーとおらふくんがあぁっと泣き出した。
「なぁ、…ぼ、んさんは?」
俺のすぐ後ろを歩いていたぼんさんは、信号無視の車に誰よりも早く気付き俺の身体を突き飛ばした。
俺の片足は、車のヘッドライト部分にあたりその際折れたんだと…もしぼんさんが俺を突き飛ばしていなかったら一緒に車に轢かれていた、と涙ながらにドズルさんが説明してくれた。
すごい音で振り返った時には、俺がスローモーションで前へ転んでいて、その後ろで、ぼんさんが車のフロントバンパーにゆっくりゆっくりと押し込まれていた…、1つ瞬きをしたら、もうぼんさんは居なくて壁に激突した車から煙が上がっていたんだと…。
車は、尚もアクセルを踏み込んでいてタイヤからは焦げた臭いと煙がモクモクとあがっていた。
煙でよく見えなかったが、壁と車の間には…とここまで話してドズルさんは息を大きく吸いごめん、もう、言えない…と顔を覆った。
倒れて頭をぶつけた俺がピクリとも動かないからドズルさんは必死に引き摺り安全な所まで避難したと、途中車がバンッと音を立てて火柱をあげた、その破片がドズルさんの頬にあたり…転けた拍子に掌も少し擦りむいたんだってさ…。
「めん、…ッ」
「はい…」
幾分か喉の痛みもマシになり、寝起き時よりスムーズに声が出る。
ドズルさんが、俺の顔を見てくしゃりと眉を寄せた。
「めん、泣いていいんだぞッ…」
「え、はい……で、あの、ぼんさんは?どこに居るんスか?」
「ッーーーー!!」
皆、なんか言ってるけど、ところで、ぼんさんは?
おんりーとおらふくんにも視線を向けると、涙を撒きながら首を振っていて、「もう、居ない……死んだんだ」と意味の分からない事を呟いた。
「…死んだ?だれが?」
「ぼんさんだ、即死だった……」
ドズルさんが俺の手を強く握る。
痛い…、痛い…?あ、れ、これ夢じゃないのか?え、なら、みんなが言ってる事は……?
『めん…俺の分までーーー⋯』
ああ、ぼんさん聞こえたよ…。
『俺の分まで生きろ』
葬式は、2週間後だった…事故死の場合、司法解剖やらなんやらで病死と違ってかなりの時間がかかるらしい。
しんみりしてた。至る所で泣き声が響いて、鼻をすする音もする。
ドズルさんは少し痩けた顔で、似合わない喪服を着てた。
その様子を開け放たれた出入口に立った俺が、ハッと鼻で笑って見る。
「やぁやぁやぁ、ぼんさんやーい!!」
声を大にして肩に担いだ袋とピンクと紫色の花束を揺らしながら土足で踏み込む。
遺族や同僚、仕事関係の仲間達がは!?と振り返るが、知らないふりをする。
松葉杖を慣れない手でガシャガシャ鳴らして棺の前まで行くと、寝てるみたいに綺麗な恋人のすぐ近くにバサりと花束を投げやった。
「ぼんさん!約束ですからね、ちゃんと来ましたよ!」
ドズルさんは目を見開いたあと、クッと口を覆い震えて泣いてて、何も分からない遠い親戚だろう人達が「な!な、なんだ!?誰か止めろ!罰当たりめ!」と喚いているが、仕事仲間や近い親族は何か思い当たるのだろう微笑んだり、ありがとうございますと呟いたりしている。
まだ治っていない足が痛いし、頭の縫い傷だって違和感あってしゃーない。
でも、約束したからには叶えなければ、ぼんさんが好きなロマンチストな彼氏じゃいられない。
「…ぼんさんッ……、」
『その代わりーーー⋯』
あの時言ったぼんさんの言葉、
『葬式は明るくしたい、派手な花束持って来てよ……結婚式みたいにお互いの色纏って終わりたい…約束ね?めん』
薄ピンクのタキシードを身に纏って来たってのに、恋人は真っ白な死装束…カァーーッ!ぼんさん!?またッスか!?いつぞやのフォーマルじゃなきゃダメだよって言いながら人にはスーツ着せて、自分だけラフな格好できた、あの時と同じですか?
「ふふ、でもね、ぼんさん、今回の俺はちゃーーんと貴方の衣装も準備してきたッス…ほれ!」
袋から薄紫のお揃いのタキシードを出して、体の上に合わせるように拡げる。
「…似合ってんね、色男……。」
あー、それと!と俺はポケットから箱を取り出す。
「あの時、掌に渡された物がなんなのか、ずっと考えてて、…ぼんさんの家、探させてもらいました……へっ、人にはロマンチストって散々言ってましたけど…貴方も大概ですよ」
隠すように棚の後ろに置いてあった小さな箱。開けると、お揃いのシルバーリングが入ってて、裏にはあの、海で初めて気持ちを重ねた日付が刻まれていた。
「…しかも、ピッタリでビビりましたよ。いつ、俺の指のサイズ測ったんスか?」
痛む足を擦りながら、棺の前へとかがみ込む。
残されたもうひとつの指輪は…もちろん、
「綺麗ッスね…ぼんさん…ッ綺麗です…」
ぼんさんの左薬指にピッタリだ。
冷たい手をゆっくりと撫で、頬まで上げる。
顔を近付けても恥ずかしそうに染まることがない、あぁ寂しいな、でも、約束したんだ。
最後は明るく、またねと…。
「…ぼんさん、愛してる。おやすみなさい…。」
別れのキスをひとつ。
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コメント
9件

悲しすぎて涙が止まりません😭 もしも来世というものがあったらまた巡り合って欲しいです(´;ω;`)
く”ぁぁぁあ”ッ!泣きましたよ!!!!!!!!!なんつぅすごいもの見ちまったんだ私ッ!!!!!もうっ本ッ当に感動系!!!!!好きだ””😭

切ない思いになりました。🐷さん🍆さんの分まで幸せになってください。😭
シャオ🦎🔰@がんばり中