そうしてなんとか泊まることは出来そうだ。
受付してる時、何回も宿主に見られまくったが……。
そして俺たちは案内された部屋に入る。
内装はやっぱり悪くない。
と言いたいところだが、
ーーベッドが一つしかない………。
「わぁ!ベッドが一つしかないねー!」
レオはキラキラした目で飛び跳ねる。
「ほんとだな……
まぁいいだろう」
ロウはなぜか勝ち誇った笑み。
(俺は知っているぞ。
“ベッド一つだけ”ってわざわざ付け足した犯人をな……)
レオは何も疑わず、俺の服の裾を引っ張る。
「湊〜!真ん中で寝ようね!!」
いやいやいやいや。
断る権利、俺にください。
「俺は端でいい。
……湊は俺の隣だ」
ロウが当然のように言う。
(いや端でいいのは俺!!真ん中はトラブルの中心だから!!)
「じゃあ俺は反対側〜!!」
レオが大はしゃぎで反対側に回る。
つまりこうなる。
レオ ← 俺 → ロウ
(完全密着サンドウィッチ完成だよおい!!)
「湊、冷えるだろ?」
ロウは毛皮の尻尾で背中を包み込んでくる。
「湊〜あったか〜い!」
レオは腕を絡めてくる。
(完全に捕獲された哺乳類。俺。)
俺の逃げ場は、
布団のどこにも存在しなかった。
数時間後。
二人の寝息が聞こえる。
間に挟まれた俺は、もちろん寝られるはずもなく……。
ーーこのベッド、狭すぎ!!
(あぁ……こいつら、幸せそうに寝やがって……)
疲れの原因がこんなにもスヤスヤと……。
レオは俺の肩に頭をのせ、
ロウは背中に手を回して包み込むように寝ている。
(いやいや、俺……一体どうしたらいいんだ!?
完全に捕獲された獲物状態だぞ!!)
寝返りを打つたびに、二人の毛皮が押し付けられる。
(重い……いや、幸せなんだけど、重い……)
「……あぁ、明日もこのまま起きられないパターンか?」
俺は小さく呟き、目を閉じる。
眠れないけど、なぜか心は少し温かい。
コメント
2件
一通り読んだ。主人公の奏?少しすきだわ😆