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あや
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「穂乃果。口開けて?」
「へ……? ん、ぁ……」
薄く開いた唇に、指とは違う柔らかい感触がして、ぬるりとしたものが口腔内に侵入した。それがナオミの舌だと気付くのに、そう時間は掛からなかった。
歯列をなぞり、上顎を擽られ、舌を絡め取られ、吸い上げられる。
「ん、ふ……んん……っ」
自分は今、この人にキスされているんだと、上手く回らない頭で改めてそう思った。
しっとりと唇を吸われ、首の後ろがざわっと粟立つ。
直樹のキスはいつも、自分を満たすためだけの身勝手な作業だった。けれどナオミの唇は、穂乃果の震えや零れる吐息の一つひとつを愛しむように、丁寧に拾い上げていく。
「は……ん……」
角度を変えて何度も重なる唇がやけに熱く感じられて、溜息のような吐息が漏れた。
遊ぶように口内を探る舌に、どう反応したらいいのかわからない。逃げるように巻いた舌を絡め取られ、じわっとしみるような感覚と、ピリッと痺れる感じが同時に襲ってきて、下腹部がきゅんと疼いた。
どうしよう、なにか変だ……。蕩けるような口づけは驚くほど気持ちよくて、全身の骨が抜けていくような錯覚に陥る。
「ふ、ぁ……」
音を立ててゆっくりと離れた唇が、もう一度重なった。チュッと啄んで離れて、また重なる。何度もそれを繰り返されて、頭が次第にぼやけていく。ふわふわして、何も考えられない。
「ん……ふ、ぅん……っ」
キスの合間に漏れる自分の声が妙に甘く聞こえて、穂乃果は羞恥に頬を染める。
知らなかった。キスがこんなにも気持ちいいものだったなんて……。
「……そんな顔して……止められなくなっちゃうじゃない」
ナオミは熱の籠った低いテノールでそう囁くと、また唇を塞いできた。今度は最初から深い口付けで、舌を吸われ、口腔内をくまなく舐めまわされる。
「穂乃果、腕こっちに回して」
「ん…は……っ」
促されるまま、ナオミの背に腕を回してしがみ付く。ガウン越しでも伝わる、女性とは決定的に違う広く逞しい背中。
どうしよう……。キスだけでもこんなに気持ちがいいのに、この先はどうなっちゃうの?
さらに二人の距離が密着し、互いの体温が混ざり合う。
雨音さえ遠のくような熱情の中で、穂乃果はただ、自分を「女」へと変えていくナオミの熱に溶かされていった。