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第二話:心臓、うるさくてごめん
夕飯後、洗い物をしてる真白の後ろで、陽翔はボーッと眺めてた。
水滴のついた指、手際よく動く手、くるくる変わる表情。
(かっこよすぎんだよな、先輩…)
「なに黙って見てんだよ、手伝うならさっさと皿持て」
「ごめん、先輩がかっこよすぎて見惚れてた」
「っ……はあ!?///」
真白の手がピタッと止まり、顔が見る見るうちに赤くなる。
「ば、バカじゃねーの!?……ほら、これ持って!落とすなよ!」
お皿を差し出す手が微妙に震えてるのを見て、陽翔はにやりと笑った。
「はい、先輩の大事なお皿、俺がちゃんと守ります」
「そのセリフ重いって言ってんだろ、毎回……」
⸻
夜、寝る前。
陽翔が部屋に戻ると、真白がベッドの端に座ってスマホをいじってた。
「あれ、先輩まだ起きてたんだ」
「……お前のくしゃみが聞こえたから、なんか出してやろうと思って」
そう言って差し出されたのは、蓮お手製のホットはちみつレモン。
「やば、神……」
「神じゃねぇ、先輩だ。つか、風邪ひくなって言ってんのに、タオルケットで寝てるし」
「だって隣に先輩いないと、布団冷たいんだもん」
「お前なぁ……」
怒るかと思いきや、真白は小さく息をついて、陽翔の頭にぽんと手を置いた。
「……ほんとに、バカ」
その一言が、陽翔の胸をギュッと締めつける。
触れられた頭が熱くて、でも嬉しくて。
心臓の音が、真白にまで聞こえてしまいそうで、うつむいた。
「先輩、…好きが溢れそうなんだけど、どうしよう」
「…………」
しばらく沈黙。
そして真白が、小さく呟いた。
「……俺にだけ、溢れてくれればいい」