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えぬた
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春の夜中、まりかは目を覚ます。
隣を見ると仁義(じんぎ)がいない。
上着を持って、玄関を開けると、
海を見ている仁義が遠くにいる。
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仁義はぼんやり立ち尽くしている。
「海を見ている」はずなのに、
瞳にはなにも映っていないようだった。
断片的な映像。
髪を撫でるやさしい手。
首へ降りる指先。
震えて離れていく手。涙。
いつかの仁義が笑って言う。
「⋯⋯大丈夫。ありがとう。…直弥くん。」
一瞬だけこちらを見る、誰かの目。
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仁義の肩に上着がかかる。
まりかが後ろに立っている。
「……風邪ひくよ。」「帰ろ。」
「うん。」
二人は並んで歩き出す。
家。
仁義はすっかり眠っている。
まりかは仁義の髪を撫でながら、心の中で思う。
「(また、遠いところを見てた。)」
どこかで、水音がした。
コメント
1件
えぬたさん、読みました〜!!🌸✨ 「序章 水の中へ」、すごく静かで切なくて、一気に世界観に引き込まれました…! 仁義くんが「遠いところを見てる」感じ、まりかちゃんがそっと見守る距離感、すごくエモいです😭💕 「また、遠いところを見てた。」って心の声、グッときました。 水音の演出もすごく神秘的で、これからどうなるのか気になりすぎます…! 続き、めっちゃ楽しみにしてますね!!📚💖