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「え…ブラピが…ブラピが…呑み込まれた?!」
「ダークネス…ラインに…ですか。」
ナチュレはビジョンに映る二人を見てこくりと頷く。ピットはかなり驚き、パルテナは何か策を考えようと少し俯く様子が。
「…自然王失態じゃ。」
「奇跡が…何もかも効かなかった。
甘かった…詰めが甘かったんじゃ!わらわのせいで…」
「そう自分を追い込まないでください、ナチュレ」
「そうだよ!ボクたちもブラピの行方を探せば…って思ったけどどうやって探そう…」
「ナチュレ、あのダークネスラインは本当にブラピごと呑み込んだのですか?」
「ああもちろん。何せ、この目で見ておったからの。」
「あの後、完全にブラックピットを呑み込んだとはいえ、まだ宙に浮いてはおる。無理に近寄ればそなたらも巻き添いを食らうぞよ」
「わかってる…そんなことはわかってるさ!
でも…どうすればブラピを救えるんだろう…」
ピットだけが方法を考えようとうーんと考え込む。
ナチュレがなにか思い出したように懐からブラックピットの形跡のふたつを見せる。
「え…そ、その月桂樹と黒い羽根…」
「そうじゃ。ブラックピットが落としていったに違いないモノらじゃ。」
「クソッ……!こうなるんならボクが少しでも早く気づいていたらブラピ…ブラピを救えたんじゃないか!!」
「ピット…」
隣で珍しく激怒しているピットをパルテナは心配そうに眺める。ナチュレが両手を腰にあてながらため息を吐く。
「さらに面倒なことになったの…」
「残念じゃが、わらわにはどうしようも出来ん。ヤツの力になれんかったわらわは──」
「自然の女神であろうものが何不貞腐れておるんじゃ」
もうひとつのビジョンが出現され、目の前に映りしディントスの姿が。
ちなみに、神でありながら神器の製作者でもあり、ピットの持つヘンテコな神器こそ、彼の加護があっての事。あの最強を統べる、真・三種の神器もそのひとつ。
「神器神ディントス…会えて光栄じゃぞ。
じゃが今の現況、見て分からぬか?」
「ブラックピットの救助計画を考えておる。邪魔するでない」
「おう、そうか。
こちとらも邪魔する気は無い、安心せい」
「じゃが、ちと驚いたのう。」
「まさか自然軍がアレを食い止めようとは…無理もないじゃろう」
先ほどからのけ者扱いされてるような感覚にピットが気まづそうに叫ぶ。
「あ、あのー…そろそろ会話に出てもいいかな?」
「なんだか、空気を感じちゃいましたね。」
「ひとまずディントスも含め、もう一度あの場所へ向かうぞ!」
「ほう…ワシも同行されるのか。ちょうどいい、ダークネスラインの様子がどうも気になっていたところなんでな。ちょいとばかし、付き合ってやるわい」
「もちろん、ボクたちも同行させてもらうよ!ブラピは大事な仲間なんだし!」
「ピットに賛成です。わたしもぜひ、お供させてください」
「うむ…みなのもの、自然の女神として誇りに思うぞ。明日、準備完了と同時に出陣しようと思う。それでよいな?」
ディントス、ピット、パルテナの3人が同時に返事をする。どうやら納得のご様子で。
「待ってろ、ブラックピット。
自然軍幹部を失った今、そなたを闇のそこから引きずり出してやる!それまで――間に合うとよいのじゃが。」
「……」
深淵の断崖。その中心に彼女はダークネスラインを密かに眺めるその瞳の奥に……ひとつの闇が。
未だ、ブラックピットは深い深い闇のそこに鎮まりかけている最中で。