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新たな技を会得した果爲は、弥恋と共に更なる研鑽を積んでいた。ある日、弥恋から思いもよらないことを言われた。
弥恋「ねぇ…私も一緒に戦わせてくれない? 果爲の能力って四肢の骨強化したり出来るんでしょ?」
果爲「一旦まって…今弥恋も戦うって…」
弥恋「守られてばかりじゃ嫌なの…何の力にも慣れてないじゃんか…それに果爲がいる時じゃないとそれは出来ないしねw」
果爲「でも、いざ戦うってなったら危害が…」
弥恋「わかってる…分かってるけど、もうかなに庇われる立場にはいたくないの…私だって、運動部だし…腕っぷしには自信あるんだからw」
果爲「……考えさせて」
弥恋「わかった…決まったら言ってね」
果爲の中で、弥恋を尊重したい気持ちと危険な目に合わせたくないという気持ちがぶつかり合い、果爲に重圧をかけている。果爲からすれば、一緒に戦ってくれればどれだけ安心か、心強いことか。しかし言ってしまえば、弥恋は無力に等しい。果爲の心身の支えであり、一方で不安材料にもなりうるのだ。
そう心の中で葛藤していると、弥恋が口を開いた。
弥恋「…さっきは変なこと言ってごめんw 私普通の人間だし、どうせなんも出来んわw」
果爲「いや…そういう意味で言ったんじゃ…」
弥恋「いいのいいのw…気にしてないからw」
—嘘だ。実際が事件を解決した時も、私への心配で泣いていたし…。—
そう感じた果爲であったが、先に反対した自分がいたこともあり、口を噤んだ。
弥恋「とりま今日も練習おつかれ〜、だいぶ精度上がったんじゃない? 」
果爲「い、いやまったく弥恋のおかげだよ…」
弥恋「でしょでしょw、これからも付き合ってやっからさぁ」
果爲「……うん…ありがと」
果爲は複雑な感情に囚われつつも、何とか感謝の意を伝えた。ギクシャクしたまま、2人はいつもの帰り道
な、はずだった。
周りの電信柱や塀が揺れ始め、立っていられるような状況ではなかった。
地震だ。地震大国である日本では、毎年のように地震が報告され、各地で多大な被害を及ぼしている。よって全国で、避難訓練が毎年必ず一度はあるのだ。そのため地震に直ぐ気づいた2人は、訓練で言われた
『塀や高いものから離れる』を遵守し、開けた通りの中心に移動した。
果爲「弥恋無事!?怪我してない?」
弥恋「誰かさんのおかげで無事だよ。」
果爲は弥恋を覆うように粒子壁を展開し、彼女を守っていた。揺れが収まったことを確認した2人は、周囲を警戒しつつ再び帰路に着いた。
弥恋「いやぁびっくりしたぁー」
果爲「ほんと急に来たし」
弥恋「まぁでも助かってよかっ」
弥恋が言いかけたそのとき、電信柱に備わっている変圧器が、老朽化と今の地震の影響で今にも落ちそうだったのだ。
それに気づいた弥恋は咄嗟に果爲を庇い、彼女に覆い被さるようにして守ったのだ。案の定、落下してきた変圧器が弥恋の肩に直撃した。弥恋は倒れ込み、それを見た果爲の中で様々な恐怖が交錯した。
果爲「弥恋…なんで…」
弥恋「ぶ…無事だった…んだ…良かっ…」
そう言い残した弥恋は目を閉じ、果爲の呼び掛けに応じなくなった。
果爲「どうしよ…弥恋が…私のせいで…」
………