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果爲(なんで信じて上げられなかったんだろう…弥恋に力を貸していれば、怪我はしても軽傷で済んだのに…)
落下物を直ぐに退かしはしたが、弥恋のダメージは言い表せないほど深く、医療ケアなどでは治るはずもなかった。
果爲は自分が下した決断が間違っていたのだと思い、酷く泣き崩れた。ここまで支えてきてくれた親友であり幼馴染を自分が穢した、そう言っても過言では無いと、彼女の無意識が告げる。そして彼女はこのとき、自分が弥恋を真に信用出来ていなかったことに気づくとともに、今自分に何ができるかを必死で考えた。
果爲「そうだ…そうだそうだよ!私のこの力は弥恋と一緒に磨いてきたんだ…弥恋のために使わないで何になる!」
そう結んだ果爲の決意が弥恋に届いたのか、傷口から止まった血がまた流れ出した。
果爲「血が溢れて…てことはまだ循環してる、脳も死んでない!……やっぱり、まだ心音がある!どうすればいい…臓器の損傷が酷いし、ほかの箇所の裂傷も重篤…まずは止血と臓器の修復を…」
彼女は拙くも、必死に能力で弥恋の臓器の細胞を再構成し、開いた血管もすべて閉じた。
臓器への損傷をある程度修復した果爲は、次に傷口を縫合…いや、再生させ始めた。
細胞レベルからの修復は、弥恋の体に傷1つ残すことなく成功した。
最後に、弥恋に輸血を試みた果爲は、地面に滴る血液を自身の能力で、血液の成分だけを抽出して弥恋の体に戻した。
外的、内的な損傷をすべて直しきった果爲は弥恋を見て…
果爲「ごめんね…弥恋…あと、助けてくれてありがと…」
そう言いながら、見慣れたはずの弥恋の顔をさも待ち遠しく、悲しく近くで見つめていた。
果爲(お願い…起きて…まだ謝れてないし…一緒にやりたいことも…伝えたいことだってあるのに…)
以前果爲は弥恋に彼氏は居ないかと尋ねられた時、少し躊躇いつつ居ないと、答えていた。それは彼氏がいないことを強調した一方で、……弥恋へのアピールでもあったのだ。
子供の頃からずっと一緒だった弥恋に対し、果爲は親密を通り越し、愛情すら抱いていた。
それを伝えられずにいかれては困ると、そう思った時…
果爲は自分の口に暖かさを感じた。
果爲「なに…?」
弥恋「泣くなばかw…あと勝手に殺すなよ」
それは弥恋が果爲にキスをしていたのだった。生きていたことが分かりほっとすると同時に、今までの恐怖心が溢れて零れた。
果爲「私…弥恋にもうあえないと…ひぐっ…思ったから…心配で…頑張って治して…うぐっ…ぐすん」
果爲は既に安心していた。だからこそ自身が体験したことを弥恋に、親友に伝えたくなったのだ。
弥恋「分かったってw心配かけてごめんよぉ〜」
弥恋は、珍しく感情を露わにする果爲をそっと抱きしめ、彼女が平静を取り戻すまでまで励ました。同時に彼女は、果爲が自分に戦うことを認めなかった感情を知り、静かに泣いた。
2人はこれでようやく、信じることを学んだ。