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テラーノベル、結構アップデート?されてて使い方分かんなくなる
『雨の音とオーバーサイズ』
「……はぁ…、最悪」
ボタボタと水滴を垂らす自分の服を見下ろし、僕は深く深呼吸をした。
バケツをひっくり返したような突然の夕立。傘を持っていなかった僕は、運がいいのか悪いのか、近くにあったアメリカの家に駆け込む破目になってしまったのだ。
「まぁまぁ、そんな顔すんなって! 濡れたままだと風邪引くから、はい、これ着て」
差し出されたのは、アメリカが普段着ているであろうグレーのパイル地のジャージだった。
断る理由もなく、洗面所を借りて着替えたものの——鏡を見て頭を抱えたくなった。
ダボダボなんてレベルじゃない。
肩の位置は大きく落ち、袖は手をすっぽり覆って萌え袖どころか指先さえ見えない。丈に至っては太ももの半ばまで隠れてしまっていて、まるで大人の服を無理やり着せられた子供だ。
服を着ているというより、服に着られているの方が表現は正しいかもしれない
(……動きづらいし、なにより落ち着かない……)
裾をぎゅっと握りしめながらリビングに戻ると、ソファーに深々と腰掛けたアメリカが、僕を見るなり「ブッ」と噴き出した。
「ハハッ! なんだよそれ、ジャージに埋もれてんじゃん! かわい、めっちゃウケる」
「……笑わないでください。誰のせいだと思ってるんですか。だいたい、小さめの服くらい置いてないんですか貴方の家は」
「あるわけないだろ、俺の家なんだから。……でもさ」
アメリカはニヤニヤとした笑みを浮かべたまま、ソファーの隣をぽんぽんと叩いた。
「思ってたより似合ってるよ。なんか、俺のモノって感じがしていいじゃん」
「…へ、変な言い方しないでください!」
一瞬で顔に熱が集まるのが分かった。
心臓が不躾な音を立て始めるのを隠すように、僕はアメリカから一番遠い一人掛けのソファーへと向かい、意地でもそこに腰を下ろす。
萌え袖になった袖口を引っ張り、顔を半分隠すようにして膝を抱え込んだ。
服からは、アメリカが使っている柔軟剤の、甘くて少しスパイシーな香りが嫌になるほど漂ってくる。包み込まれているような感覚がして、どうにも心地が悪い。いや、心地が良すぎるからこそ落ち着かないのだ。
外では、雷鳴と共に激しい雨音が響き続けている。
「……早く、止んでくれないかな」
ぽつりと呟いた僕の声は、雨音にかき消されたはずだった。
なのに、いつの間にかソファーから立ち上がっていたアメリカが、僕の目の前にしゃがみ込んで顔を覗き込んできた。
「そんなに早く帰りたくなるなよ。……俺はこの雨、もっと降ればいいのにって思ってる」
「な……っ」
至近距離で見つめられ、呼吸が止まる。
手を伸ばせば届く距離。アメリカの手が、だぼついた僕の袖口をそっと掴んだ。
「帰さないよ、雨が止むまではさ」
悪戯っぽく、だけど逃がしてくれないような強い目。
面倒くさい、本当に面倒くさいことになった。
雨のせいにしてこのまま流されてしまいそうな自分をごまかすように、僕はキュッと唇を噛み締めた。
コメント
1件
第2話、読ませていただきました!雨宿りから一気に距離が縮まる感じ、すごくドキドキしました。特に「萌え袖」になった袖口を引っ張って顔を隠す仕草が可愛くて、アメリカの「帰さないよ」の台詞も熱くて…。柔軟剤の香りに包まれる描写も、細やかで好きです。続きが気になります!🌷