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#異世界転生
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「王子谷さん、猫好きなんですか?」
「まあ、そこそこっす。実家でもずっと一緒だったんで」
俺は余裕を崩さず、さらりと答えた。
ガラス張りのお洒落な猫カフェには、思い思いにくつろぐ猫、猫、猫。
丸まって寝ているやつ。窓辺で黄昏れているやつ。当然のように椅子を占拠しているやつ。
(……よし)
今日、インスタ撮影用のデート先にここを選んだ俺には、圧倒的な勝算があった。
実家の白猫『ぽちゃまる』は、完全に俺に懐いている。指定席は俺の膝の上。むちむちの肉球だって、触らせてくれる。
つまり――俺こそが、“猫に選ばれし男”!
ここは株を上げるチャンス。自然に懐かれる俺を見て、小森が――
『さすが王子谷さん……!』と尊敬の眼差しを向ける。……完璧なシナリオ!!
「よーし、いい子……」
しゃがみ込み、近くの一匹に手を伸ばす。
(さあ来い……俺の指先から溢れ出る“猫マスターオーラ”を感じろ……!)
――スッ。
避けられた。
「……あれ?」
まあ一匹くらい気分屋もいる。気を取り直して、次はアイテムを使う。カゴから、羽のついた猫じゃらしを手に取った。
「ほら、こっち」
シュッシュッと、プロの技で振る。しかし猫は大あくびをひとつして――ぷいっと去っていった。
(……おかしい。ぽちゃまるなら今ので三回は飛びつくだろ?)
最終手段。俺は店員から猫用のおやつを購入した。
(これなら確実だろ)
(胃袋を掴めば、猫なんてイチコロ!)
差し出した瞬間、数匹が寄ってくる。
(よし俺の勝ち!――さあ、存分に甘えろ!)
ぱくっ。
……食べた。そして――食べ終わると、秒で解散した。
(……俺、もしかしてただの“動くおやつ台”?)
「王子谷さん」
小森に呼ばれて、振り向く。
――そして、固まった。
彼女の周りに、猫が集結していた。
一匹が膝の上。一匹が足元にすり寄り、さらに一匹が肩に前足をかけている。
「えへへ……なんかいっぱい来ちゃいました~」
困ったように小森は笑った。おやつも、道具も使っていない。
(……いやいやいや)
(なんで!)
(俺、猫尽くしの“プロ側の人間”じゃん!?)
(なんで初心者の小森が!?)
小森は無理に構わない。追いかけもしない。
ただ、そこにいるだけ。俺の『懐かれようとする下心』が、猫たちには筒抜けだったのかもしれない。
「……はあ。勝てる気がしねえ」
思わず、本音が漏れた。
そのとき。カラン、と入口のベルが鳴った。
「ねえ、見て……あれ、王子谷くんじゃない?」
「えっ、本当!? てか、隣の子……誰? 彼女?」
聞き覚えのある声だった。背筋に、嫌な感覚が走る。
振り返ると、そこには――「王子ファンクラブ」の中心メンバーたちが立っていた。
(……まずい。小森が巻き込まれる……!)
コメント
1件
うわあ、これはもう猫の前では「俺が主役」って思ってるタイプあるあるの大勝利パターン(笑)。読みながら思わず肩を落としたくなりましたよ……「ただの動くおやつ台」が痛すぎて吹きました。でも小森さんの「いるだけで猫が集まる」人柄がちゃんと伝わってきて、思わず応援したくなりました。最後のファンクラブ襲来、ここからどうなるのか気になります……!