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その日から学校に行くのに躊躇いが出来た。
私はなんの為に偽っていたのか、
どうして我慢していたのか、
自分が何をしたかったのか、
それすらも忘れてしまっていた。そして私は学校を生まれて初めてサボった。心が軽くなった気がした。今まで背負ってきた、重荷が全て無くなったような気がした。そんな訳なんてないのに。何処へ行こうかと考えた時、私は近くの川の方へと足を運んだ。まるでなにかに引き寄せられるように。そこで偶然見つけた人気(ヒトケ)のない公園でただぼっーとしていた。
鳥の鳴き声がして、
若葉色の葉っぱ達が風でサヤサヤと揺れる音がした。
土の匂いがして。
どこからか花のいい香りがして。
全てが心地良かった。少し土手を歩いたりもして。時々吹く風が涼しくて。解放された気持ちになった。空を見上げると、こんなにも空は広くて、青くて、明るくて、太陽の光が眩しく暖かかったのかと、改めて私は思った。そのまま昼時までずっとその公園にいた。ふと、お腹すいたな、と思い家に戻ることにした。別に怒られてもいいと思った。家に着くと、試しにドアを開けてみた。鍵は当然かかっていて中に入れなかった。鍵を忘れていたので中に入れず、何とかよじ登れないかと色々試していた。自転車がなかったので買い物でも言っているのだろう、そう思っていた。すると、偶然帰ってきたお母さんとバチッと目が合った。向こうは私を見るなりヒュッと息を飲む声がして、次の瞬間、私をキツく抱き締めていた。少し目が赤くて、涙声だったような気がした。
『あぁ、やっと見つけた…学校から貴女が学校に来ていないけど、まだ自宅にいますか?今日はお休みですか?って担任の先生から電話が来て…朝、学校に行ったはずに、なのに来ていないなんておかしいから、、、さっきまでずっと探していたんだからっ…』
その後、すぐに走ってきたお父さんの顔を見て、あぁ、私はすごく心配させてしまったと思った。手が動いた時、怒られると思って反射的に目を瞑ったが、優しくポンッと撫でてた。目には涙が溢れていた。今まで抵抗しても結局、諦めて学校に行っていた私が、初めて学校に行くことを拒否した日だった。その後、三人で昼ご飯を食べた。
何を話したかなんて、
食べた味なんて
覚えていない。ただ、頭には撫でられた感触がまだ残っている。家に帰ってくる頃には両親はいつも通りに戻っていた。