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第17章
神を疑う者たち
第121話:名前のない集まり
それは、
反乱でも組織でもなかった。
ただの、
話し合い。
酒場の奥。
倉庫の片隅。
壊れかけた礼拝堂。
「……神は、
本当に正しいのか?」
誰かが、
小さく口にする。
その問いに、
誰も怒らなかった。
第122話:思想は静かに広がる
噂は、
剣より早く広がる。
「健は、
神を否定したらしい」
「いや、
否定してない」
「考えろって、
言っただけだ」
それが、
一番厄介だった。
第123話:指導者にされかける男
健の前に、
人が集まる。
「あなたの言葉で、
救われました」
「俺たちは、
どうすればいい?」
健は、
首を振る。
「俺に、
従うな」
空気が、
凍る。
「考えるのは、
自分でやれ」
それは、
最も不親切な答えだった。
第124話:エリナの警告
エリナは、
はっきり言った。
「あなたは今、
最も危険な位置にいる」
「神にも、
国家にもならない存在」
「それでも人は、
あなたを“中心”にする」
健は、
苦笑する。
「……嫌われ役だな」
「ええ」
「でも、
世界には必要よ」
第125話:小さな勇気
市場。
兵士が、
国家神の教義を読み上げる。
その時。
一人の少女が、
手を挙げた。
「質問、
してもいいですか?」
沈黙。
それだけで、
周囲がざわつく。
質問することが、
勇気になる世界。
第126話:弾圧は始まらない
管理局。
会議は、
荒れていた。
「今のうちに、
潰すべきだ!」
「いや、
理由がない」
「疑っているだけだぞ!」
カシムは、
黙っていた。
「……弾圧は、
信仰を強める」
「それは、
歴史が証明している」
誰も、
反論できなかった。
第127話:信仰と疑念の境界線
国家神アルケイオン。
祈りは、
まだ多い。
だが――
演算値に、
わずかな揺らぎ。
《原因:未定義》
神は、
それを処理できなかった。
疑念は、
数値化できない。
第128話:レオンの立場
レオンは、
壁にもたれて言う。
「お前、
面倒なことしてるな」
「そう言うな」
「俺は、
剣で解決できる方が好きだ」
健を見る。
「だが……
逃げなかったのは、
評価する」
それは、
最大級の賛辞だった。
第129話:選ばない覚悟
夜。
健は、
一人で座る。
(俺は、
誰の味方だ?)
答えは、
決まっていた。
「……選ばない」
国家も。
神も。
民衆も。
間違える自由を、
奪わない。
それだけ。
第130話:最初の分岐点
観測層。
ノクスが、
演算結果を見る。
「……予測外」
「疑念が、
収束しない」
監査官が問う。
「処理を?」
ノクスは、
静かに答えた。
「まだだ」
「――だが、
次は」
画面に、
新たな警告。
《均衡崩壊率:臨界手前》
世界は、
静かに。
だが確実に、
選択の時へ向かっていた。
第17章・了