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「さいってー!あんたなんか死んじゃえ!」
「はいはい、さよなら。」
これだから女は嫌いなんだよ…。
残り少ない缶ビールを煽る。
そのまま冷たい床に倒れこんだ。
首にあたる床がひんやりしていて心地がいい。
もうなにもやりたくねぇ。
身体は重く、何も考えられない。
もういっそこのまま死んでくれ。
俺一人死んだって何の支障もきたさないんだ。
嫌われものだしな。
目をつぶれば…誰の顔も思い浮かばない。
親ってどんな顔だったっけ?
俺に大斗(たいと)って名前を付けた奴ら…
大きく生きろなんて柄じゃないのにさぁ…
もういいや、疲れたわ。
人生なんか、クソだ。
「ほーら、起きてぇほーらぁ。あっさでっすよぉ~!」
うるっせえなぁ。誰の声だよ…俺確か独り暮らしだったは、ず…。
「ぎゃあああああああ」
だれだ、だれだよコイツ!
くっそ美人じゃねーかっ!この世の者か?
見た目完璧すぎるだろ…それにしても美人だなぁ~。
「えっへん!だって、女神様ですからね!」
「は?」
なになになになに…?
痛い。すごく痛い。美人とはいえ20代だ。
中二病の延長線上にあるやつか?そしたらくっそ痛い。
一言で察する。コイツヤバイやつ。
「ごほん。ひとつ言うと、ヤバイのそっちですから!一言で察する事ができるぜアピール?そっちの方が数倍痛いわ!」
「あぁ?お前だれだよ!」
「女神だよ!」
「痛いわ。痛すぎる!」
怖い、とても怖い。恐ろしいメンタルだよ。
何で女神主張こんなに強いんだよ。気持ちわりぃな。
「あぁっ!それ傷つきます!語彙力ないバカが私を美人でしか言い表さないことよりもイラァって来ます!」
「それこっちも傷つくんだが!?」
自称女神と言い合っていると、突然光が差し込んだ。
思わず目をつぶると、誰かの声が聞こえた。
「おいこらそこのガキ!神を手間取らせるな!女神もちゃっちゃと異世界に送り飛ばせ!」
恐る恐る目を開く。と、そこにはイケメンがいた。
顔面国宝級のイケメンがいた。
なんだよこのイケメン…カッコいい。
男の俺でも見とれるほどの…。
ちょっと待て。さっきまで俺は部屋で酒を…。
「てか、どこだよここ!」
「今かよ!」
しぶしぶ説明してくれたイケメンは生命のすべてを司る神で、自称女神は神をサポートするちゃんとした女神らしい。
「で、お前は魔王だ。」
「は?」
何を言ってるんだ?
あー、分かった分かった。適当に人間選んでもてあそんでるんだな。
なるほどなぁ~。そう思っておきたいな~
「いや、君死んでるよ?」
女神のにっこりスマイル!こうしてみるとやっぱり美人…
「はぁっ!?」
驚きすぎで顎が抜けたけど、痛みは感じない。
どうやら本当に死んだようだ。
「君は酒の飲み過ぎで死んじゃったんだよ~!酒は飲んでも飲まれるな、よ!」
へいへい。
「んで、君は異世界にはつきものの魔王様になって女の子をはべらせることができる!神様たちは勇者が魔王を倒すor封印するまでを仲良く見守るっていう感じ。」
それどっちにしろ…
「どっちにしろ俺負けるじゃん!」
「でも女の子に囲まれてウハウハだよ?」
「関係ねぇ。断る!」
急に連れてきて勇者に負ける人生送れとか、あり得ねぇ。
まず俺は女には懲り懲りなんだよ。
女神の顔がスッと真面目になった。
この女神なに言って…
「正直私も頭固い神様たちに飽き飽きしてんの。だから…」
瞳がまっすぐ合う。
「魔王らしく、さ。」
今までと違う女神の瞳に、俺はうなずくしかできなかった。
身体中が火傷しているように熱い。
そしてヒリヒリとした痛みが走る。
「くっ。」
起き上がると、そこはボロい小屋だった。
「あぁっ!まだ寝ていてください!」
小屋の窓から声が聞こえる。
「今いきますので、待っててくださいっ。」
部屋のなかに現れたのは、白髪の美少女だった。
顔が急に近付いたと思うと、お互いのおでこがくっついて…って。
「なっ、えっはっ?」
な、何で!?
うわぁ…至近距離過ぎて直視できねぇ。
幼い顔の美少女…絶対美人になる。将来が怖い…。
「ふむふむ、熱は下がったようです。良かったです!」
どうやら俺の熱を測ってくれていたようだ。
「よし、それじゃあ…」
はい?今なんて言った?
美少女からの衝撃発言である。
「ほら、はやくはやく!汗かいてるんですからね。」
「いや、でも…」
看病するためと分かってもさすがに恥ずかしい…。
特にこんな美少女の前でだぞ!
無理無理無理無理…
「もー…もう脱がせますね!ほら、腕上げてください。」
「やめっ…自分で着替えるしっ!」
…駄々をこねるような言い方になってしまった。
「そうですか。じゃあここに居ますので何かあったら…」
「いや、出ていってくれ!…悪いが」
優しさで言ってくれているんだろうな…。
部屋で休ませてくれた上に看病までしてくれて、強いことは言えないな…
「そうですか。何かあったら外の庭に声をかけてくださいね。」
「あ、ありがとう…」
「いえいえ。着替えは机の上ですからね。」
とてつもなく優しい。
そして微笑んだ顔がとてつもなく可愛い…。
自分に利益なんてないのに…あ、もしかして金取られるパターン?
いや、取られなくとも渡した方がいいけど…
金持ってないぞ?
そんなことを悶々と考えて着替えをした。
そのあと、絶品の料理までご馳走してくれた美少女は、俺に今日も泊まるよう言った。
「まだ完璧に治った訳じゃないですし。お医者さんを頼んでいますので…」
「いや、いいよ。ここまでしてもらって…あ、金は払う。っても今は無いんだけどな…」
「お金は大丈夫ですよ。こうみえても私、結構稼いでいますので。」
「へー、なにで?」
美少女の収入源とか気になる…接客業か?
「は?」
この子、俺の敵だった…。