テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
めちゃ短いです
🇧🇾×🇷🇺のGL
片想いです
しょり しょり
足の毛を剃る。傍から見たら何気ない女の子の日常の1ピースに過ぎない。けれど、ベラルーシはそのとき僅かな不安を抱いていた。
あたしは、もう「女の子」じゃなくなっていく。足の毛が伸びる度、お気に入りのリボンが似合わなくなっていく度、私はどんどん「女」になる。それが怖かった。
もう、姉さんにぎゅって抱いて貰えなくなる。もう、頬にキスをして貰えなくなる。徐々にその回数は絶対に減って行く。
足の毛は伸びる。伸び続ける。未熟な精神をおいていく、体はがむしゃらに成長しようとする。
足の毛を剃りながら、ベラルーシは自分の胸の奥に渦巻くものを認めないふりをした。
それはとても幼稚で、でもどうしようもない憧れで、欲望だった。
「姉さんに嫌われたくない」
ただ、それだけをずっと祈るように思ってきた。
姉さんに近づきたい、触れてほしい、あたしを見てほしい。
だけど、女になればなるほど、その願いは図々しくなる気がして怖かった。
姉さんはきっと優しい。
でも、その優しさは誰にでも分け与えられるものだ。
あたしだけのものじゃない。
あたしだけが独占できるものじゃない。
それが分かるたびに、胸の中が冷たく、苦くなった。
もう、あの頃みたいには抱きしめてもらえないだろう。
小さくて、弱くて、泣き虫で、守ってもらえたあたしじゃなくなる。
成長してしまう。
大人になってしまう。
そして、姉さんのそばにいられなくなる。
「姉さん」
呼ぶ声が、自分でも気持ち悪く思えた。
愛おしさと憎しみがないまぜになった声。
本当は「好き」と言いたいのに、「嫌い」と言ってしまいそうな声。
それでも、あたしは諦めきれない。
姉さんを諦めたくない。
たとえあたしが女になってしまっても、姉さんを好きでいたい。
抱きしめてほしい。
キスをしてほしい。
あたしだけを見てほしい。
そんな勝手な気持ちを抱えたまま、あたしはまたカミソリを動かした。
しょり、しょり、と音が響くたび、何かを削り取るような気がした。
子供の自分を捨てるようで、怖かった。
でも、どうしても止められなかった。
コメント
2件
朝から涙が… 辛たん…ベラちゃんにとってはそんぐらい大切なんだろうな
これをみるために私は生きている気がする!