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レナオタ久しぶりな見た気がする、 続き楽しみにしてますね!
「好きだぜ、オーター。」
「オーター、好きだ。」
「オーター・・・愛してる。」
ー時に優しく、時に熱い眼差しで、愛の言葉をくれる一途な貴方に同じように返せればいいのに。
「あ?何だここ。」
「ここは・・・。」
そこは、上下左右どこを見ても真っ白で家具や窓一つ無い、ただ出入り口と思われるドアがあるだけの何とも殺風景な部屋だった。
ー今から数分前。
その日レナトスは書類の判子を貰いに・・・というのは口実で、恋人であるオーターに会いに来ていた。
「よう、オーター。判子くれ。」
「こんにちは、レナトス。はい。」
レナトスから書類を受け取り、オーターは書類に目を通していく。
その様子をレナトスはじっと見つめた。
(相変わらず綺麗な顔だな。まつ毛長ぇ。)
「・・・レナトス。」
「ん?」
「そんなに見つめないで下さい。」
「悪い。お前綺麗だからつい見ちまうんだよ。」
「はあ。そういう言葉は女性に対して使うものですよ。」
口ではそう言っているものの、オーターは頬をうっすらと赤く染めていた。
照れていると分かりレナトスの口元が自然とゆるむ。
(可愛いな。)
「何ですか、その締まりの無い顔は。」
「ひでえなぁ。久しぶりに恋人の可愛い姿見たんだぜ?締まらなくもなるだろ。」
「私は可愛くなどないです。はい、どうぞ。」
オーターは眉を寄せ頬を染めたまま、判子を押し終えた書類をレナトスに手渡す。
「サンキュ。」
(やっぱり可愛い。・・・こいつの可愛い顔も見れた事だし、仕事の邪魔しちゃ悪いから今日はこのまま帰るか。)
いつもならもう少しオーターと雑談をしていくレナトスだったが、オーターの机の上の書類の量を見て仕事の邪魔にならないように帰る事にしたのだった。
「んじゃ、俺帰るわ。」
「え。」
「え?」
レナトスの言葉にオーターが小さく驚きの声を上げながらレナトスを見つめた。
オーターのその様子を見てレナトスもまた驚きの声を上げオーターを見つめる。
が、すぐにニヤリと口元に意地悪な笑みを浮かべながら言った。
「何?俺に帰ってほしくない?」
「なっ別にそういうわけではないです。ただいつもならばもう少し居座っているから驚いただけです。」
珍しく焦りながら一気にまくしたてるオーターに、レナトスは小さく笑った。
「お前忙しそうだしさ。仕事の邪魔になったら悪いと思って。」
「そんな気を使わなくてもよろしいのに。
・・・ですが、ありがとうございます。」
「ん。仕事が落ち着いたら飲みに行こうぜ。」
「良いですね。行きましょう。」
「決まり。じゃあまたな。」
「はい、また。」
飲みに行く約束をしてレナトスは踵を返し、執務室のドアへと歩いて行きドアノブに手をかけ開けようとしたその時、
グニャア。
「!?」
「!」
部屋が歪んだかと思うとピカァと強い光が執務室内に溢れ、レナトスとオーターの二人は思わず目をつぶった。
そして光が収まって目を開けた二人の視界に入ったのは今いるただ真っ白な部屋だった。