💙「いたいっ!もうやめてお父さんっ!!」
小さい頃からお父さんは時々俺たちを打つ。
双子の弟の、翔太は、泣きながら首を振った。
引きずられて、物置へと連れて行かれる翔太を引き止めようとして、俺はお父さんの足にしがみついた。
❤️「うわっ!!!」
大人の力は強くて、俺は簡単に壁まで吹き飛ばされる。頭を打ち、ぬるぬるした血がべっとりと右手に付いたのを見て、俺はそのまま意識を失ってしまった。
目を覚ますと、俺の隣りで翔太が眠っていた。たくさん泣いたのだろう、目元と鼻が赤くなっている。
俺の頭の出血は止まっていた。身体中に痛みはわずかに残っていたが、そんなことよりと、俺は翔太を抱きしめた。
❤️「早くこんな家、出よう?」
翔太が眠ったまま、鼻をスンスンと鳴らした。俺はぎゅっと翔太を抱きしめた。
それから中学に上がって部活から帰ったある日、玄関には鍵が掛かっていなかった。
翔太の靴と、親父の革靴が揃って置いてある。
親父の早過ぎる帰宅を不審に思いながら、家の廊下を進んで行った。
すると、親父の部屋から、翔太の声が聞こえてきた。でも、それは、話し声ではなく聞いたことのない苦しそうなものだ。声変わりが始まったばかりの、不安定な声音は、なんだかとてもいやらしかった。
💙「あっ、あっ……お父さん……」
💙「きもちいい…あんっ……」
ドアの隙間から初めて見た大人の行為に、俺は驚いて、自分の部屋に逃げ帰った。
思い返せば、仕事が早く終わったとかで、時々俺よりも早く帰宅している親父がいた。
そんな時、翔太も先に家にいなかったか。
俺の知らない間に、翔太は親父に抱かれるようになっていたのか。
思い返せば、物置に連れて行かれた時も翔太は親父に何かされていたのかもしれなかった。 いつも鍵が掛かっていて、中に入れてもらえなかったので俺は何も知らなかっただけだ。
親父が俺とお袋に隠れて続けていたその行為も、時が経つと、ついにお袋の知るところとなり、お袋は実家に帰ってしまった。
荷物をまとめたお袋に一緒に行くかと誘われたが、翔太を残していけないと断った。お袋は知らぬ間に本来保護すべき翔太を憎んでいた。
親父は翔太に夢中だ。
翔太もなぜか、父親に誘われると素直に応じていた。
俺は空気。
あの時の声が聞こえると、部屋に閉じこもって、1人で自慰行為に耽るようになった。
翔太の甘い声や、色っぽい仕草に興奮していた。
俺も親父と変わらない。
翔太が欲しくてたまらない。
お袋がいなくなり、2人があまり情事を隠さなくなったので、俺は時々親父の部屋を覗いては、目に焼き付けたその光景で自分で自分を慰めていく。
❤️「あっ、いく……」
そして、射精した後には決まって死ぬほど後悔するのだ。
その繰り返し。
毎日がそんな地獄だった。
そして、ある日とうとう我慢できなくなった俺は、父親と翔太が、シ始めたのを確認して、通報した。
証拠もたくさん用意したので、父親はあっさりと警察に捕まった。
しかし、俺にとって、計算外だったのは、俺たちが同じ家ではなく、別々の場所に引き取られることになってしまったことだ。
俺はお袋に引き取られ、翔太だけは施設に入れられることになった。
翔太と過ごす最後の夜。
俺は翔太を風呂に誘った。
翔太は黙ってついてきた。
❤️「これで良かったんだよ、翔太」
💙「…………」
翔太は何も言わない。
感情の抜け落ちたような顔で、黙ったまま。
❤️「俺、翔太のこと、守りたかった」
シャワーのお湯を受けながら、翔太を抱きしめる。翔太が何かを呟いた。
❤️「なに?」
💙「……離れたくなかった」
今度ははっきり聞こえて、俺は喜んでしまった。翔太も俺と、離れたくないんだ。
💙「お父さん……お父さん……」
しかし、翔太が憎むべき親父のことを呼びながら、ポロポロと泣き始めたので、俺は頭に血が上ってしまった。
邪魔者は、俺だったのだ。
絶望的な気分と、翔太をめちゃくちゃにしたい強いどす黒い怒りが腹の底から湧いてきた。
俺は、翔太を浴槽の縁に捕まらせて、後ろから前戯なしに挿入した。
💙「いたいっ………」
❤️「うるさい!俺がどんな想いで……っ!」
無理やりこじ開けた、翔太の後ろの穴は、初めこそ固く、キツすぎて良くなかったが、出血することもなく、だんだんと柔らかくなっていく。
そして、苦痛を涙ながらに訴えていた翔太も、次第に自ら腰を振り出した。
💙「あん、あん、きもち、いいよ……」
❤️「はぁ、はぁ、はぁ」
初めての刺激に、中でイキそうになる。
翔太の締め付けがやばい。
❤️「でる……っ!!」
そして、俺はついに中で出してしまった。
何度も何度も、翔太の中へ放つ間、後ろから縋り付くように翔太に抱きついていた。
💙「涼太…」
離れると、翔太が俺を切なそうに見つめてくる。
💙「俺、まだ…。俺のことも気持ちよくさせて?」
そう言って、翔太は俺のものにしゃぶりついてきた。 完全に翔太は変わってしまっていた。
その事実に愕然としてしまい、落ち込んだ気持ちを振り払うように、俺は翔太をイカせ続けて、自分も何度もイキまくった。
布団を並べて眠り、ほとんど眠れないまま朝になり、俺たちは無言で朝食を済ませ、先に翔太の迎えが来た。
💙「バイバイ」
翔太はそれだけ言って、迎えの車に乗り込んだ。 積もる話もあったのに、呆気ないものだなと思う。
どこで歯車が狂ってしまったのか分からなかった。
ただ、いなくなった親父と俺とが同じ種類の人間だったということだけが、俺の胸に苦い記憶として残った。
おわり。
コメント
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新たな性癖の扉が開きそうになった笑 明るい話も好きだけどダークな話も好き🥰
なんか!なんかすごい! そしてどっちも切ないね🥹
何だかちょっとせつない…