テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#溺愛
桜咲かな
174
18
#先生
なべたろう
179
#1プロローグ
『ねぇ、知ってる?』
『地球から一番近い星まで40兆kmもあるんだよ』
『なのにここまで光り輝いて見えるってすごいよね』
星空のように輝いて見える君の隣で、空で瞬く宝石に手を伸ばした
届きそうで届かない距離
もどかしさの中、君の横顔だけを見ていた
_画面越しの君の横顔を
星空の下でまた君に恋をした
学校の屋上で寝転び、ただただ青い空を見上げる
「今日もただ青いだけだな」
そう言いつつも、毎日飽きずに昼にここへ来る
眺める空は雲が流れ、まるで世界の時間がゆっくりになってしまったかのように思える
〈おい、またここにいるのかよ〉
友人の榎本が声をかけてくる
「うるさい」
「別に私の勝手でしょ?」
ぷいっとそっぽを向いてやる
〈なっ、俺はただ……〉
ごにょごにょと聞こえない声を発する
「は?なんて?」
〈な、なんでもねぇよっ!〉
慌てた様子で屋上から走り去ってしまう
なんだったのだと思いつつ、昼休みを満喫する
キーンコーン_
チャイムが鳴る
どうやら少し寝てしまっていたらしい
「あ、やっべ、!」
慌てて屋上の階段の手すりを使って下階へと滑り落ちる
廊下を走り、1年A組へ
ガラガラと音を立てながら教室の扉を開ける
[はぁ…、遅刻ですよ]
すみませんと一言謝り、席につく
横を向けば窓の外が見える
教室から見えるものは普通の高校とは違う
校庭が見えるわけでもなく、木々が揺れているのが見えるわけでもない
ただ見えるのは線路と高層ビルだけ
いわゆる都会というものだ
電車と新幹線の大きな音
隣のビルの工事の音
騒音ばかりのこの教室にも3~4ヶ月もいれば慣れてしまった
先生が着々と授業を進めていく
ホワイトボードの字は歪んで、インクがかすれる
私はただぼーっと、外の空を見つめていた
気づけば帰宅時間
丁寧に掃除をし、足速に駅へ向かう
この時間帯はいつも帰宅ラッシュと被らず、人混みが少ない
人の流れに逆らい、目的の改札をくぐり、4番線へ
ただただ普通の高校生活
何の面白みもなく、ぼーっとしている生活
そんな日々にも終止符を打ちたいと日々思っていた
電車内、一番端の席にすわり、最近はまっているSNSアプリを起動
そこでの私は男性として活動している
日々に刺激が欲しかったというのが第1目的だが、興味本位というのが本音だろう
だが一度性を偽って入って、抜け出せなくなるとは思わなかった
電車が走り出し、車内放送が流れる
《次は〇〇駅、〇〇駅》
いつものように、電光掲示板を確認しながらアプリの返信を行う
いつもと変わらないはずなのに、どこか様子が違っていた
理由はすぐにわかった
アプリの恋仲の機嫌が悪い
ついには他の男の名まで出してきた
私は女だから別になんともないが、彼女は知らない
嫉妬でもすると思っていたんだろう
「……一ノ瀬か」
その時の私はその一ノ瀬という人と話してみようと、瞬間的に思った
【はじめまして】
【よければ仲良くしませんか】
ありきたりな文章だが、送るのに時間を取ってしまった
数分経って、返ってきた言葉は冷たいものだった
「はあぁぁ…、」
疲れ果てやっと着いた家
制服のまま、畳に寝そべってしまう
{お姉ちゃんだらしないよ}
そう小言を言う私の可愛い妹
「あっちゃん!!」
ぎゅと抱きしめる
{いいから制服着替えてきて!}
突き放されるが、ツンデレでかわいいとも思ってしまう
私は俗に言うシスコンらしい
まあ妹の秋は面倒くさがっているが、満更でもない様子だったので気にはしていない
制服をクローゼットにしまい、椅子に腰掛ける
先程冷たく返された文章に、どう返事をしたらいいのか迷う
いつもなら軽薄に事を済ませてしまうが、今回はそうはいかない
ちゃんと返答しなければ、私はこの垢を消さなければいけなくなるかもしれない
_xx週間後
あの日、詰まっていた言葉は今ではすらすらと言える仲に
本当に数週間だと思えないほど、一ノ瀬とは仲がよくなった
そしてひょんなことから、師弟の関係も組んだ
今では同じネット上の恋仲より話しているかもしれない
始めはつんつんとした様子だった一ノ瀬も、徐々に打ち解け、最近では後輩感が増してきた
【そういえば、一ノ瀬っていくつなの?】
〔俺は中3だよ〕
【は!?】
てっきり年上か同い年くらいだと思っていた
大人びた雰囲気に騙されていたらしい
だが、私も何も言えない
男らしい口調
男らしいアイコン
クールぶって、今も一ノ瀬を騙している
きっと君は私が女なんて思いもしないんだろう
ちょっとした心の痛みは気にしない
罪悪感なんて消せばいい
どうせ学生のうちだけのネット上の付き合いなのだから
設定
「」
名前↪有川.加奈(ありかわ.かな)
性別↪女
年齢↪高1(15)
趣味↪お菓子作り、水泳、カメラ
【】
名前↪奏(かなで)
性別↪男(女)
年齢↪高1
その他↪加奈のネット上での垢、男と偽っている
〈〉
名前↪榎本.春樹(えのもと.はるき)
性別↪男
年齢↪高1
その他↪加奈のクラスメイト
〔〕
名前↪一ノ瀬
性別↪男
年齢↪中3
その他↪??のネット上の垢
{}
名前↪有川.秋
性別↪女
年齢↪小6
その他↪加奈の妹
[]=先生
『』↪??
次回➸#2
コメント
15件
続き 、気になって寝れねぇって 、
「ねぇ、知ってる?」から始まる冒頭がすごく惹かれました。星空に手を伸ばすイメージと「届きそうで届かない距離」というフレーズが、加奈がネットで男を偽っていることや、一ノ瀬との距離感に重なって見えたんですよね。 加奈の日常の退屈さと、ネットで奏として生きるギャップがしっかり描かれていて世界観にすっと入り込めました。一ノ瀬が中学生で、しかも師弟関係になる展開は想像してなかったのでいい意味で裏切られました。続きが気になります!