すると彼女?は10秒近く目を瞑った。
「大丈夫?」眠くなったんだろうか。
患者には“大丈夫?”という言葉を使わないようにしていたのにとっさのことで発してしまった。
心に傷をおった患者だからこそ自分は大丈夫じゃないのに「大丈夫」だと言ってしまうからだ。
数秒後、彼女は目を開けた。
目を開けてはスマホに何か打ち込んだ。
“ごめんなさい!ユウが出ちゃいました。私はアヤです。”
さっきと人格が変わったように口調が変化した。
「えっと…君はアヤさん?」
僕は理解できなかった。
多分、米田くんもだろう
。驚いているのが丸見えだ。可愛い。
“はい。私がアヤです。”
真っ直ぐな瞳。
純粋な姿。
「さっきのは…?ユウくん?」
先ほど言われたことを口ずさんでいるだけだった。
“あっ!すいません!びっくりしましたよね。…”
あぁ。びっくりした。
急に何もかも変わったんだもん。
「あの。もしかしてなんですけど…。」
僕の後ろに居た米田くんが呟いていた。
「あなたは、解離性同一性障害の方ですか?」
説明しよう。
解離性同一性障害とは、一人の人間に数多くの人格が入り込んでいる精神病のことだ。
ひどいショックや悪い出来事があったことで心身に危害を加えさせる。
それを守ろうとする思いが沢山の人格に現れるということ。
わからないそこの君にわかりやすく言うと、多重人格 というものだ。
彼女は頷いた。
なるほど。
たくさんの人格が一つの人間に入り込んでいるのなら理解がつく。
だからさっき急に口調が変わったんだ。
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