次の日、部活後
「あの、先輩 ちょっと話あるんですけどいいすか」
断られないようにわざと先輩が他の3年と一緒にいるところに声をかけた。
「…いいよ。お前ら先帰ってて」
他の先輩が帰ると残ったのは俺と木兎さん、木葉さんそして先輩だけ。
「どうしたの?赤葦クン」
「赤葦は下がってていいよ」
先輩が口を開くとすかさず木兎さんが前に出た。
「先輩これ 見てください。」
そう言って木兎さんが見せたのは先輩が女の子をナンパしている写真。
「先輩最近同じとこでナンパしてますよね」
「それがどうかした?お前らに関係ないだろ」
次に木兎さんは木葉さんが編集した写真を見せる。
「先輩って男もいけたんですね」
「なんだよその写真!!デタラメ言ってんじゃねぇよ」
「覚えてないですか?先週ナンパしてた奴。あれ男ですよ」
まあ先輩がナンパしたのは女装した孤爪だが写真では普段通りの孤爪だ。
信じられない様子の先輩に木兎さんが
「音駒の孤爪。あと孤爪を連れてった黒尾も。見覚えありませんでしたか?」
2人の名前出すのはと俺が焦っていると隣にいた木葉さんにスマホを見せられる。
『先輩に話す時俺らが音駒のバレー部だってこと先輩に言ってもいいって研磨からの伝言。頑張れよ』
黒尾さんからのメールだった。
「お前らふざけんなよ!そんな写真どうするつもりだよ!」
先輩が怒鳴った。
「こっちだってお前らが付き合ってるっつー証拠写真もってんだからな」
「あぁそれならコレ見ます?」
今度は木葉さんが写真を見せる。
それは小見さんと猿杙さんや鷲尾さんと木葉さんが手を繋いでる写真だった。
「ただの罰ゲームですよ。俺たちの中で流行ってる」
そんなことはない。正確にはつい先日木葉さんがやり始めたものだ。このためだけに…
「別に俺らはその写真がばらまかれても困らないけど先輩はどうですかねぇ?」
「何が目的だよ」
先輩は諦めたようにそう言った。
「赤葦に今までしたこと謝れ!それから二度と赤葦に近づくんじゃねえ」
今まで一応先輩ってことで敬語で話していた木兎さんの口調が乱れる。
さすがの先輩も木兎さんの勢いに怯んで渋々
「悪かった。もうあんな事しないから許して欲しい。」
と謝られた。
許せと言われてもそう簡単に許せる事じゃないし返事に困っていたら
「赤葦 許す必要はないから」
と木兎さんに言われた。
「とにかく今後赤葦に手出したらただじゃおかねえからな」
木兎さんはそう言うと「じゃあ先輩戸締りお願いします。」と言って扉へ向かった木兎の後を俺と木葉さんも追った。
「とりあえず成功…?」
「ですかね?」
そう言って木葉さんとハイタッチをした。
だが今回大活躍してくれた木兎さんは何やら不満顔。
「やっぱ何発か殴っとくべきだったよなぁ〜」
何物騒なこと言ってんだこの人…と思ったが俺も先輩に殴られてたな
「木兎さん、あんな奴殴る価値もないので大丈夫ですよ」
木兎さんはまだ納得いかないようだが
「まぁ遅いし今日はもう帰るか!」
と木葉さんが言うと木兎さんも諦めて歩き出した。
「あの、お二人共本当にありがとうございました。黒尾さんと孤爪も含めてまた今度お礼させてください」
「いやいや 俺らが勝手に首突っ込んだだけだからお礼なら音駒の奴らだけで十分だって」
「あかーし!後輩を守るのも先輩の仕事なんだからな!」
まあお前はただの後輩じゃないけどと笑った木兎さんの破壊力はやばかった。
後日黒尾さんからも『他校とはいえ可愛い後輩には変わりないからな!今度の合同合宿で自主練付き合ってくれたらチャラにしてやんよ』というメール、
孤爪からは『じゃあ一緒にアップルパイ食べに行こ』とメールが来た。
あれ以来先輩から呼び出されることも無くなり平穏な日常を取り戻していた。
そしてついに明日はインターハイ初戦。
……To be continued
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