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試合



今日はインターハイ初戦。

俺たちの試合まではまだ少し時間がある。

試合までの時間部員たちは体を解しながら駄弁っていたり、トイレに行ったりと自由に過ごしていた。

相手校がものすごく強い訳でもない、でも高校初の公式戦 そして、強豪梟谷の正セッターというプレッシャーは大きかった。

正直じっとしていると緊張してくるからギリギリまで練習していたいがそういう訳には行かない。

隣の木兎さんもソワソワしだしているがこの人はただ早く試合したいってとこだろう。

「俺ちょっと外の空気吸ってきます。」

立ち上がってそう言うと「いってら〜」と木兎さんが返した。


「木兎がお留守番なんてめっずらしい」

「赤葦、めっちゃ緊張してるっぽかったし多分1人になりたいのかなって」

「1年でスタメンは赤葦だけだもんな。まぁ木兎と違って迷子になることもないだろうし大丈夫か!」

「うっせ〜木葉!俺だって迷子になんてならないし!!」

「俺も落ち着かないしトイレ行ってこよ」

「俺も行く!」



外の空気を吸ってだいぶ落ち着いたのでそろそろ戻ろうかと階段を下っていたら背中に大きな衝撃を受けた。

次の瞬間大きな音を立てて階段の一番下まで落ちていた。

幸い手をついていたので頭は打っていない、しかし鋭い痛みに1人で起き上がれないでいると音を聞いて集まってきた人をかき分け木兎さんと木葉さんが駆けつけた。

「赤葦!!大丈夫か!?」

木兎さんに抱き起こされる。

「大丈夫…だと思います。」

「ところでお前何段目から落ちたんだよ?」

木葉さんに聞かれ俺が「詳しくは覚えてないんですけど割と上の方だったかと」と答えると3人とも反射的に俺が落ちた階段を見上げた。

そしてその階段には階段の1番上からこちらを見下ろす先輩がいた。

「まさかお前、先輩に落とされた…?」

考えたくもない可能性を木兎さんが口に出した。

そこへ階段を降りてきた先輩が俺の前に来る。

「赤葦クン、大丈夫?先生呼んできてあげよっか」

「大丈夫です。自分で戻れるので」

そのまま先輩は去っていった。

「赤葦、落ちた時の状況 覚えてる?」

「えっと急に誰かに背中を押された…っていうか突き飛ばされて、落ちる瞬間に見えたの多分梟谷のジャージでした。」

やっぱり…と木兎さんと木葉さんが顔を見合わせた。

「じゃあやっぱり先輩に落とされたってこと…?」

「顔を見た訳では無いので確信は無いです。周りに人もいませんでしたし」

「そんな事より早く手当てしないと!ほら行くぞ!」

木葉さんに言われて木兎さんが俺を抱き起こした状態のまま片手を脚の下に通して立ち上がった。

「ぼ、木兎さん?何してるんですか!?」

そう、所謂お姫様抱っこ状態だった。

「怪我してんだから俺が連れてってやるって!酷くなったら困るし」

木葉さんに助けを求めてみたが

「すまん。今は木兎の言ってることが正しいから諦めて運ばれとけ」

せめて持ち方変えて欲しいと言う間もなく歩き出してしまった。

視線が…他校の人達の視線が痛い。

諦めて木兎さんの肩に顔をうずめて周りは気にしないことにした。


ようやく着いて椅子の上に降ろされる。

木葉さんはマネの先輩に救急箱を頼んで、木兎さんは監督に説明しに行った。

救急箱を持った木葉さんたちがやってきて俺は咄嗟に右手首を隠した。

もっと前から気づいていた。他の部分は時間が経って痛みも引いてきたが右手首だけは痛みが引くどころかどんどん痛くなっている気がする。

監督の元から戻ってきた木兎さんはいち早くおれの様子に気がついて

「赤葦、手 見せてみて」

と言われ渋々右手を出した。

明らかに赤く腫れているのを見て周りはとても動揺していた。

一人冷静だった木兎さんはテキパキと手当てをしてから口を開いた

「今日の試合は…「だっ大丈夫です。他のとこももう痛くないし少しすれば治りますから」

木兎さんがいい切る前にそう言ったがいい反応は得られなかった。

「大丈夫なわけねぇだろ!酷くなったらどうすんだよ!」

木兎さんに怒鳴られて怖かったが俺の事を本気で心配してくれているのが分かって気持ちが整理しきれずに泣き出してしまった。

「すみません、俺、大事な試合前に…俺、セッターなのに 手首怪我して 皆さんに迷惑かけて…」

「大丈夫。赤葦賢いから咄嗟に手着いたんでしょ。頭とか打ってなくて本当に良かった。無事で良かった…」

そう言って木兎さんは俺が泣き止むまで抱きしめてくれた。

思い切り泣いたら冷静になってきた。こんな状態の俺が試合に出たところでただの足でまといだ。

監督の元へ行って「今日の試合出られそうにないです。」と伝えた。

すぐに病院へ行くよう言われたがせめて試合見てからとお願いして試合が終わるまでは居られることになった。

俺の代わりにセッターとしてコートに立つのは3年のセッターである先輩だった。

俺は試合に出ないメンバーと共に2階の観客席へと向かった。



……To be continued

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