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#初恋
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nagi.
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第話:青と紫の支配領域
妊娠五ヶ月を過ぎる頃、あれほど私を苦しめていたつわりが、嘘のように綺麗に消え去った。それと同時に、食欲が爆発し、お腹の膨らみも服の上からはっきりと分かるようになってきた。タイトなマタニティウェアが必要になってきたため、私たちは休日の午後、街で一番の高級ベビー用品専門店を訪れた。
「よし、ネス。俺たちの子供が最初に見に纏うものだ、妥協は許さん。凡才どもが着るようなペラペラの布など、俺の城には入れさせないからな」
店内に入ると、パステルカラーの小さな服や、スタイリッシュな最高級のベビーグッズが所狭しと並んでいた。カイザーは入店した瞬間から、まるでピッチの上で敵のディフェンスラインを分析するかのような鋭い視線で商品を一つずつ品定めしていた。
「おい、このロンパースを見ろ。素材はオーガニックコットン一〇〇%か。だが、この縫い目は赤ちゃんの肌に触れる。内側がフラットになっているものにしろ。ネス、お前はどれがいい?」
「私は……この淡いパープルの服が可愛いなって思う。ミヒャの青と、私の紫を混ぜたみたいで、すごく素敵じゃない?」
私の言葉を聞いた瞬間、カイザーの瞳が狂おしいほどの愛着と熱で満たされた。
「……お前ってやつは、どこまで俺を喜ばせる天才なんだ。よし、このシリーズの服は全サイズ買い占める。それから、このベビーカーだ」
彼が目を付けたのは、最新鋭のカーボンフレームを採用した、漆黒のスタイリッシュなベビーカーだった。カイザーはその前に立つと、実際にハンドルを握り、店内の通路でスムーズなターンを決めてみせた。その動きはあまりにも洗練されていて、まるでピッチの上で相手を抜き去るフェイントのようだった。
「ふむ、悪くない。ハンドリングが極めてスムーズだ。サスペンションもしっかりしている。これなら、俺が押してピッチの周りをダッシュしても赤ちゃんに振動はいかないな」
「ピッチの周りを走るの!? それは危ないから絶対にダメだよ、ミヒャ!」
「はは、冗談だ。だが、これにしよう。俺の愛車(ポルシェ)のトランクにも綺麗に収まるサイズだ」
買い物の最中、周囲の買い物客や店員が「あのミヒャエル・カイザーが……」と驚き、ヒソヒソと囁く声が聞こえてきた。しかし、カイザーはそんな周囲の視線を全く気にする風もなく、むしろ見せつけるように私の腰を強く引き寄せ、私のお腹に優しく、けれど誇らしげに手を添えて歩いていた。
(ネスも、そのお腹にいる子供も、すべて俺のものだ。俺以外の有象無象が彼らに触れること、その視線を向けることすら万死に値する)
彼の全身から放たれる、強烈なまでの独占欲のオーラ。私はその、少し狂気を孕んだ独占欲が心地よくてたまらなかった。彼の大きな胸にそっと身体を預け、世界で一番幸せな音を響かせる心臓の鼓動を、すぐ近くで聴いていた。