テラーノベル
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その日、車を降りてからはカイリュウは何も無かったみたいに、プロの顔をして仕事をこなしていた。
じゃあ、おつかれ、たっくん。
そういつもみたいに挨拶をして、別の仕事に向かった。
ひどく混乱した顔が頭に残りながらも、それ以上何か言うこともできず、挨拶を交わしてその場を終えた。
それからはスケジュールが合わずに、カイリュウと会えない日が数日続いている。
何度もラインを送ろうと考えたが、また混乱させるだけだと、手を止めた。
今は、仕事に集中するしかない。
そう思いながら、仕事終わりに事務所へ向かった。
***
コレオ作りを再開しようと、練習室に向かおうとしたとき、誰かが電話している声が廊下から聞こえた。
「おつかれさま。…ごめん、寂しくて電話しちゃった、」
ランの声だ。
思わず隠れて、聞き耳を立ててしまう。
「どうやった、?撮影」
撮影。今日撮影があったのは、カイリュウとセイト。
……相手は、カイリュウしかいない。
「そうなん?(笑)まぁ、 カイリュウが楽しそうでよかった」
やっぱり。分かっていたのに胸がザワつく。
「……でも、ちょっと妬いたかも。」
素直に嫉妬したことを言うランに少しびっくりする。
そんなこと言える関係になったんだ。
ふと、そう思って自分で自分を苦しめる。
「えっ、?///どしたん、かいりゅう…っ、俺も…俺も会いたいよ、」
その一言に、心臓が止まりそうになる。
ランの甘えた声で、カイリュウからの言葉を想像してしまい、顔が歪んだ。
「……今日、仕事終わったら、家行ってもいい…?……うん、じゃあ、また後でな、?」
そう言って、電話を終えたラン。
こっちへ来そうな気配を感じて、練習室へ向かった。
練習室へ入り、力無く壁にもたれかかって腰を下ろした。
この後、カイリュウはランと会う。
また、ランの匂いを纏うのか。
あのランの甘い声、2人はもうそういう雰囲気だと一瞬で分かった。
今日、もしかしたら、ランは告白するのかもしれない。
俺が最後に見れたカイリュウは、混乱した顔だった。
でも、あいつには、
……何も、手につかない。
時計を確認して、少し考える。
荷物を持って、練習室を出た。
***
(RAN視点)
俺の家からたっくんとの仕事に行くのを見送った日、ずっとソワソワして2人の事が気になっていた。
『よろしくね。変なことすんなよ。』
嫉妬から、カイリュウのスマホで勝手に送信した言葉。
やりすぎたかもしれん、と思いながらも、俺といた事を察すればいい、と少し強気な自分もいた。
個人仕事が続き、カイリュウにも、メンバーにも会えない日が続いている。
事務所で仕事の合間、もうそろそろ終わってるかもしれないとカイリュウに電話をかけた。
廊下に出ながら、スマホを耳に当てる。
「もしもし?ラン?」
「あっ…カイリュウ、?」
すぐに電話が繋がり、カイリュウの声が聞こえた。
やっぱり、声を聞くと嬉しくなる。
「そろそろ仕事終わった頃かなって思って、」
「よくわかったな?今ちょうど終わってん」
「おつかれさま。…ごめん、寂しくて電話しちゃった、」
「っ…うん、全然、ええよ、?」
「どうやった、?撮影」
「おん、めっちゃ良いの撮れたで。セイトとやったし、俺も気抜けて出来たからよかったわ。あいつまたアホな事して怒られてん(笑)」
「そうなん?(笑)まぁ、カイリュウが楽しそうでよかった」
「うん、楽しかったわー」
「……でも、ちょっと妬いたかも」
「えっ、…」
「や、うそ…ごめん、面倒くさくて…」
「…………ラン、」
「…ん…、?」
「……会いたい、」
「えっ、?///」
急にしおらしい声で、「会いたい」と言うカイリュウに胸がきゅんとして、軽くパニックを起こす。
「どしたん、かいりゅう…っ、俺も…、俺も会いたいよ、」
抑えられなくて、多分デレデレした声になっている。
カイリュウの「会いたい」が頭に響いて、くらくらする。
「……今日、仕事終わったら、家行ってもいい…?」
「…うん、ええよ、」
「うん、じゃあ、また後でな…、?」
電話を切って、甘い余韻に浸る。
残りの仕事を早く終わらせようと、事務所に戻った。
***
(TAKUTO視点)
事務所を出て、家に着いてすぐに車に乗る。
感情だけで、車を走らせていた。
信号待ちで、ふと助手席に目をやる。
あの日、隣にカイリュウが乗って、楽しそうに目的地を当てようとしていた姿を思い出す。
帰りに、たわいの無い話をして、あの時見つめ合った事を、話さなかったことも。
俺があげたぬいぐるみに笑っていた姿も。
あの日の事を、車に乗ると、どうしても思い出してしまう。
どうしても、忘れられない。
車を停める。
停めたのは、カイリュウの家の前だった。
その勢いのまま、カイリュウに電話を掛ける。
少し待つと、電話が繋がった。
「…もしもし、たっくん?」
「……カイリュウ、今、家?」
「せやけど、どしたん、」
「ねぇ、今から会いたい。」
「……えっ、…」
この後、ランと会う約束があるのは知ってる。
でも、そんな事を考えてあげられる余裕はもう無かった。
「…今、家の前にいる。」
「えっ、?!」
そう言うと、窓を開けてベランダに出てくるカイリュウの姿が見えた。
「っ……なんで、」
「話したい。ちょっとでいいから、」
「……、」
「カイリュウ、」
「っ…、…ちょっと、だけやで、」
カイリュウの言葉を聞いて、電話を切って部屋へ向かった。
***
インターホンを鳴らすと、カイリュウがドアを開けた。
「…ごめん、ちょっとだけだから。」
「…うん、」
入ってや、とカイリュウが通してくれて、家の中に入る。
リビングに来ると、看病したあの日をふと思い出す。
あの時、欲を出していたら、何か変わっていたのか。
そんな事を考えていると、カイリュウが好きなキャラクター達を飾っている棚が目に入った。
「話って、なんやねん、」
そう聞いてくるカイリュウの声が、ぼんやりにしか聞こえない。
その棚に、俺があげたカワウソのぬいぐるみが飾ってあるのを見つけたから。
すぐに分かった。
1番、目につくところに、置いてあったから。
なんで、こんな、大事そうに飾ってんだよ。
手が、震えた。
「…カイリュウ、…これ、」
俺がそう言ってそれを指さした。
「っ…、!貰ったから、飾っただけや…っ、」
焦ったように、ぬいぐるみを掴んでそう言った。
カイリュウの中に、少しでも、俺がいるんだとしたら。
もう、自分を止められなかった。
「カイリュウ…っ、」
カイリュウを壁に押し付けて、唇を奪った。
「っ、!?ん、…んんっ、…!」
びっくりして俺の肩を掴んで離そうとするカイリュウに、自分の欲を押し付ける。
「っは…、かいりゅう、…っ、」
カイリュウの頭を掴んで、深いキスをする。
何度も唇を啄み、ふいに開いた隙に、舌を熱く絡ませた。
俺の肩を掴んでいた手の力が弱くなる。
「んっ、…ぁ、…う、…っ、はぁ…っ、」
静かな部屋に、水音とカイリュウの漏れた声だけが響いた。
「っ…はぁっ、…ん、んんっ、…〜っ、ぁっ…たっく、ん…っ、」
ふいに、甘い声に紛れて俺の名前を切ない声で呼んだ。
その声に、身体が熱くなり、心臓が高鳴った。
カイリュウの手が、俺の背中に回って、服を掴む。
その瞬間、カイリュウも熱に溺れているのを感じた。
「っ、…かいりゅう、っ…」
「んっ…はぁっ……、たっく、…っ、」
あの時、水槽の前で止まっていた時間が動き出したように、この瞬間、お互いに求め合うようにキスをした。
「っ…、はぁっ、…」
唇を離して、2人で荒くなった息を整えた。
あの時みたいに、目を見つめた。
「…俺、カイリュウの事が好き。俺を見てほしいって思ってる。……最後のわがまま。困らせてごめんね。」
ずっと秘めていた言葉を、カイリュウに放った。
「っ…、たっく…っ、」
「家まで来ちゃってごめんね。」
泣きそうな顔をしていた。
ああ、また、こんな顔にさせてしまった。
でも、もう止められなかった。
カイリュウの言葉を遮るように頭を撫でて、玄関に向かう。
ドアを開けた時、カイリュウが鼻をすする音が微かに聞こえた気がした。
#MAZZEL推しの方募集中
佐野いちご
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コメント
8件

ちょっとちょっと!!! これからどうなっちゃうの😭😭 たっくん思い伝えた!頑張ったね🥺 良くそこで止まれたねたっくんんんん 次が楽しみすぎます‼️
だあああああ😭😭😭😭😭