「好きです。付き合ってください。」
「よろしくお願いします。」
高一の冬、俺は漫画みたいな恋をした。
‐回想‐
俺は小さい頃から人見知りだった。
ただ慣れると人と喋れるためよく「陰キャ陰キャ」とイジられた。
初めてな人に会うとどうしても喋れなくなってしまう。
相手もこっちが喋らないと必然的に向こうから喋ってくることもない。
さらに頭もあまりいいわけでもなく、なんの取り柄もなかった。
しいて言えば小学校の頃からバスケを習っていたので多少上手かった。
あと多少顔がいい(((ボソッ
ただ、それ以外は人並みかそれ以下だ。
高一の春中間テストがあった。
自分はそれなりに勉強したと自分なりに考えていた。
ただ結果は想像以上に酷かった。
数学 38点
英語 32点
社会 34点
理科 41点
国語に関しては21点と中学の時よりかなり落ちていた。
あまりにも点数が酷いため親に学習塾に行かされた。
もちろん塾に行ったところで人見知りが発動するに決まってる。
俺は何度も個別指導塾がいいと言ったが費用の関係もありその希望は通らなかった。
通塾初日、その塾は世間一般でいう「陽キャ」が多く、案の定人見知りがでて先生に聞かれたことしか話せなかった。
同じ中学や同じクラスの人が一人もいない。本当に人見知りには辛い空間だった。
そんな中同じ高校の人はたった3人。
そいつらが俺の席の後ろと隣だ。
そいつらは同じ中学だったらしく、ずっと喋っている。自分は半端なく気まずい席にいた。
隣のやつはチャラい男子で後ろのやつは丸メガネのおしゃれで可愛い感じの女子だった。
「君、バスケ部だよね。」
その女子に後ろから話しかけられ、自分なんかに話しかけられると思っていなかったので、ドキッとした。
「え、あ、うん」
戸惑いながらも返事をした。
「君、名前なんて言うの?イケメンだね。」
普通の人なら初対面の人にイケメンだねなんて言わない。
変なやつと思いながらも俺は
「天野 海星…」とボソボソとした声で言った
彼女は
「なんて?」
と返してきた。
すごく馴れ馴れしい。
人見知りの俺にこんなに馴れ馴れしく話す人がいなかったため困惑していた。
「天野 海星。」と少し大きめな声で言った。
「うちは田坂 萌花。海星はどこ中なの?」
と聞かれた。
初めて会う人に下の名前で呼び捨てされたのは初めてだ。
やけに馴れ馴れしい。
人見知りの俺としてはあまり会話を広げたくなかったため、低い声で
「西中」とだけ言っておいた。
塾が終わったあと家に帰るとなぜかそいつが俺の家の前に立っていた。
すると
「あ、海星シャーペン塾において行ってたよ」
シャーペンを届けに来ていた。
「なんで俺の家知ってんの?」
そう聞くと、
「翔に聞いたんだ。」
と答えた。
翔は俺の中学からの友達だ。
「先生に渡してくれればよかったのに」
俺は少し怒り気味で言った
「あ、確かに」
彼女は納得した表情で答えた。
彼女は天然なのかなんなのかよくわからないが、俺の嫌いなタイプなのは確かだ。
俺は呆れた顔で家に入った。
「ありがとうぐらい言えよ!!!」
ドア越しからでも彼女の声が耳に響いた。
俺は渋々ドアを開けてありがとうとだけ言って部屋に戻った。
「なんなんだあいつは」
家に帰ると俺はさっさと飯を食って風呂入って眠りについた。
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