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オウカ放浪譚

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オウカ放浪譚

23 - 必要な準備って何?

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2026年02月27日

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「準備って。荷物纏めるだけじゃないの?」


冒険者なんて手持ちの荷物は少ないものだし、それでいいのではないか。

アンナがそんな疑問を抱いて聞けば、オウカは「何言ってんだお前は」と呆れたような顔になる。

しかしまあ、アンナの常識はオウカの常識ではないし、どちらかというと冒険者の常識はアンナのほうが正しい、のだけれども。今回はそれでは不正解というわけだ。


「魔石列車ってのは乗りたいです、はいどうぞって代物じゃねえんだぞ?」

「分かってるわよ。お金が高いからでしょ」

「それもだが、お前……如何にも暴力を商売にしてそうな連中が魔石列車の駅にやってきてよぉ、金はあるから乗せろって言って来たら何考える?」

「……頑張ってお金貯めたんだなあ?」

「列車強盗じゃねえかと疑われんだよ」

「えええー!?」


オウカの説明を一瞬で理解すると、アンナはオウカの肩を掴んでガクガクとゆすり始める。

理解はした。したが、理解したくないのだ。


「お金払ったらお客さんでしょ!?」

「じゃあお前、その辺の雑魚寝の宿で寝たいかよ?」

「うぐっ」

「そんなもん金と貞操の危機だろ?」

「そうだけど……」


実際には奪われるのは金と装備だけかもしれないが、流石にそれを試そうという者はいない。

故に女性冒険者や見目の良い男性冒険者も金を出し合って個室に集団で泊っていたりするが……ま、それはさておいて。


「信用ってのは大事なんだ。そして如何にも冒険者って奴にはそれが無え」


こればかりは仕方のないことだ。

冒険者は荒くれ者のチンピラ。これはもはや迷宮都市では常識だ。

盗賊団にも冒険者崩れがいるのだから、これはもはや覆しようがない。

たとえ大多数の冒険者が真面目にやっているとしても、イメージは悪いものばかりが先行するからだ。

そして実際のところ、盗賊団による魔石列車を狙ったと思われる襲撃事件というものも幾つか起きている。

だから如何にも冒険者といった格好の人間は事前にお断りされる可能性が非常に高いのだ。


「えー……じゃあどうするの?」

「決まってんだろ?」


如何にも冒険者という恰好では断られる。であれば、そういう格好をしなければいい。本当に簡単な話だ。


「え? まさか服買う気⁉」

「おう。表通りの方に行かないとならねえな」

「えええ!? お金ないしそんなもの奢ってもらうわけにもいかないわよ!?」

「は? お前はメイドでいいだろ」

「あ、うん」


メイドナイトはともかくメイドであれば何の問題もない。あとはオウカがそれっぽくなればいいだけだ。

それは確かにアンナとしてもなるほど、と言わざるを得ない。


(まあ、確かにオウカは美少女だもんね。綺麗な服を着ればそう見えるのかも)


普段が荒々しい格好だからあまり想像はつかないのだが、結構似合うのではないだろうか?

しかしどんな格好が良いだろうか? 想像して……アンナは「白の……ワンピース……?」と呟く。


「バカンスじゃねえんだよ。何が白のワンピースだ」

「似合うと思うのに。絶対」

「こんな町でそんなもん着てるのは余程のアホだぞ」


どんな服にも似合う場所というのは存在する。海洋都市ならともかく、迷宮都市で白のワンピースなど「世間知らずです、襲ってください」と看板を下げているようなものだ。


「普通で良いんだよ、普通で」

「選びたいんだけど」

「白のワンピースとかぬかす奴ぁ失格だ」

「でも着てよ。今度でいいから」

「やだよ。つーかなんでだよ」

「似合いそうだなって思ったらなんか見たくなって」

「おうそうかい。だが断る」

「えー!」

「アタシもシャワー浴びるからな。さっさと寝とけ。明日は早いぞ」


言いながら上着を脱ぎ鎖帷子をカゴの中に入れていくオウカを見て「鍛えてるなあ……」などとアンナは思う。

アンナも一応メイドナイトという前衛職なのだから鍛えてはいる。

しかしオウカの身体は非常に絞られ鍛えられた、無駄のない筋肉のつき方をしている。

なのに、それでいて女性らしさを持ち細い。

今まで見た戦いっぷりからは想像も出来ないほどに「少女らしさ」を残している。

……美少女。その言葉をアンナは脳内で反芻する。

あんなのが表通りで売っているような綺麗な服などを着たら、どうなってしまうのか?

今まで誰も……たぶん誰も気付いていなかったオウカの美少女っぷりを皆が知ってしまうのではないだろうか?

ただでさえダンジョンに潜って1階ボスを倒したことで注目されているというのにだ。


「……私がオウカを守らないと」

「何言ってんだお前。大丈夫か?」

「ええ、これ以上なくやる気に満ちているわ!」

「お、おう」


明らかに「何言ってんだコイツ」という目でオウカに見られていたアンナではあったが、気にもしていない。

明日オウカをどう守ればいいのか? その考えで頭を埋めていたアンナは……不思議と、今までで一番ナイトっぽかったのである。

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