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side shp
店をみあげる。カップルがいちゃいちゃ入っていく中、俺は一人で立っている。
度胸を決めて店内に入ることにした。
「いらっしゃいませー」
気だるく挨拶をしながら品出しをする男に話しかける。
「久しぶりっす」
「あっ!ショッピやん!?元気やった??」
俺に気付いてテンションが空回りしているこの人はシャオロンさんで引っ越す前から仲良くしている人である。
「はい。元気にしてましたよ。しゃおさんも元気そうで…。」
「そうやねー。元気やったよ。うん。ちょっと課題終わんなくて…。」
一気に暗くなるしゃおさんをなだめながら
「あの実はしゃおさん。アドバイスをもらいたくて…。」しゃおさんの方を見つめればきょとんとこちらを見つめている。
「もーしかして恋の話ー?」
「そんなんじゃねーっすよ…?多分」
「うわっ怪しっ。絶対そうやん…」
「ありがとーございました!!」
シャオさんに見送られ帰路につく。
久し振りにしゃおさんと話して楽しかったのか気分は上がったままだ。
もう空も暗くなってきて星がキラキラと輝いている。見つめるのは田舎らしい空だった。
「あ」学校から帰ってきたのかゾムさんと鉢合わせをする。
ゾムさんの顔は紅く火照っている。目は少し揺らいでいて溶けてしまいそうだ。
「ゾムさん?大丈夫ですか…??」
「あっ大丈夫…。でもちょっと熱っぽいかもな…。あはは…。」
完全に弱ってるぞむさんを支えながら家に入った。
「とりあえずソファーで横になっててください。」
大人しくソファーで横になるゾムさんに毛布をかけようとするとゾムさんに腕を掴まれて引き寄せられる。
「あっ」
抱きしめてくるぞむさんはあったかくて気持ちいい。
「どっどうしたんですか!?」
唸るだけのゾムさんから離れようとするが力で負けてしまって離れられない。
ほんとに病人かこのひと。
まあ正直満更でもないが。
「なんかショッピ別男の匂がする…。」
「えっ。」口を開いたと思ったらセクハラ発言で固まってしまった。
くるっとソファに押し付けられる。
「だめじゃん。」
酔っ払っているようなゾムさんをみあげる。いま押し付けられてるのか。
親が帰ってこないから良いもの…。
外から見たらだいぶ危ない状況だ。
「どうしたんですか。酔っぱらってるんですか?」
必死に抵抗する。流石に緊張する。こうゆうのは心臓に悪い。
「んふふ。照れてる?」目を細め見つめてくる。その顔は今までにみたことないものだった。「照れて…照れてないです//」
顔を逸らせばまたふふっと微笑んでいた。
手慣れている。扱い慣れている。正直悔しい。いつも、いつも負けてばっかでダサすぎる。
「んえっ。」
気づけば押し倒し返していた。
先輩を。
考えていない展開だったのかぽけっとしているゾムさんに馬乗りになる。
「あれぇ〜先輩。さっきまで煽ってきたのにその程度ですか?」
やっと気づいた。俺はゾムさんの上に立ってるのが好きなのだろう。いつも完璧に近いゾムさんに勝つということなの だから。だからこの上に立っている立場がうれしくてたまらない。さっきゾムさんがしてきたように微笑むと、少し驚いて困ったような顔をする。まだ理解できていないようだ。この先輩は。
「ゾムさんだって別の人の匂いがしますよ。とんとんさんとかですかね。」
近づいて匂いを嗅ぐ素振りをすれば照れたように顔を赤らめ背けた。やばい。無理だこれ。頭の中がごちゃごちゃして仕方がない。
ゾムさんから離れる。
「すいません。」
ゾムさんを見つめればまた不思議そうにこちらをみるだけだった。そしてまた微笑む。
「ええのに。」
体がブワッと熱くなる。その言葉は。その返事は。手を出してもいいよ。という意味なのだろうか。分からない。
「俺が良くないんで」
そう言ってゾムさんを置いて自分の部屋に戻った。
まだ、あの人のほうが上手なのかもしれない。
そう思うことしかできなかった。