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side tn
蛍光灯の音が聞こえる。空はもう暗く、星が出ていた。
星に手を伸ばそうとする。届きそうで届かない。もどかしくてたまらない。
俺は何がしたいのか。どうなりたいのか。
どうしてほしいのか。
考えて。やめて。俯いて。考えてを繰り返してる。
美しい花はいつかは枯れるように、物事には終わりが来る。何とかしなければ、どうすれば、。考えを模索すればするほど最悪の状態を考えてしまう。
「できること…。ねえ…。」
落ちそうなメガネを直し景色を眺める。
「こういう時って警察が良いんかな。」
スマホを手に取ろうとしたがやめた。あいつは死んでも母親に迷惑かけたくないだろうしな。まあ、よくしらんけど。
逃げる瞬間なんて、たくさんあっただろうけど、逃げてないということはそうゆうことなのかもしれない。虐待に当てはまるのかもわからない。ただ、少し異常なのかもしれないと思った。
side shp
「はぁっ…。」
鼓動がリズムを打っている。だんだんと速くなるのが分かった。
もうよくわからない。自分がおかしいのかさえも。
ふとお腹が空いたなぁと思い立つ。
ゾムさんもお腹が減っているだろう。
窓から見える空はもうかなりくらい。
だが、買い物に行くことにした。
一階に降りるとゾムさんが、ソファーで横になっている。すやすやと眠るゾムさんを起こさないように横を通り過ぎる。
「行ってきます」と言ってドアを開けた。七時前、自転車に乗り近くのスーパーに向かった。
「あ。」
「おっ。」
とんとんさんと遭遇する。
疲れてそうな社畜の手にはいわゆる胃薬が見える。教師というものはストレスがたまるものなのだろうか。
「どうもです。」
「おう。」
あたりを見渡すとんとんさんは、不思議そうに
「ゾムは居ないん?」
と聞いてくる。
「今寝てるんすよ。起こすの悪いと思って、一人できました」
へぇーと相槌をうつとんとんさんは心配そうな顔でゾムさんについて聞いてくる。
いつも通りだった?とか、体調は大丈夫かとか、その他いろいろ。
「なんかあったんすか?」
と聞けば、なんもない。と言うばかりである。
「…まぁ…ええわ。すまんなしょっぴ。
帰りは気をつけろよ。」
そう言ってレジに向かうトントンさんの背中を見つめる。
やっぱりゾムさんになんかあったのだろうか。そしてなぜ教えてくれないのか。
考えたが埒があかなかったので買い物を済まして帰ることにした。
スーパーから離れた道を自転車で走る。
来た道ではなく早く帰れる道に変更することにした。けど、この道は整備状態があまり良くなくなかった。だが、引き返すのは面倒なので自転車は押していくことにした。
生暖かい風が当たる。そんなときふと、背後から人の気配がした。
「あれ?ショッピくん。」
振り返ると、ゾムさんのお父さんだった。
ゾムさんのお父さんの顔はよく見えないが、少し口調的ににこやかである。
「あ。どうもです。」首だけの会釈をする。
「こんな暗いと危ないよ。開けたところまで送ってもいい?」
昔の印象とは違って笑顔で優しそうだった。ゾムさんを家に誘ったとき、嬉しそうに承諾したから、悩みの種が、家族の可能性も疑ったが、優しそうな人柄なので疑いたくなくなってくる。
承諾し、途中まで送ってもらうことにした。
「最近学校でのゾムってどんな感じ?」
「真面目に頑張ってると思いますよ。学年が違うんで詳しくは知らないですけど。」
そうだよね。と笑う彼は、どこかゾムさんに似ていた。血はつながって無いはずなのにゾムさんと喋ってるみたいで少し安心してしまう。
だけど心配が募ってくる。
なぜか、なぜなのだろうか。そう思って、俺は、保険をかけておくことにした。
ポケットに手をいれる。
「そうだ。喉渇いてない?」
そう言ってペットボトルを差し出してくる。
「さっき、仕事場でもらって余ってるからあげるよ。」
「ありがとうございます。」
そう言って一口飲むことにした。