💚side
珍しくオフが重なった日。
🖤「阿部ちゃん、ちょっとついてきて」
とめめが言い、流れるように車に乗せられた。
着いた先は、百貨店。
お得意様専用の入口からVIPルームへ直で通される。
担当の人が来て、挨拶の後テーブルに並べたのは、どれも緑色の石が嵌った指輪。
🖤「阿部ちゃんに似合いそうなのを、お店の人に見繕ってもらったんだ。どれが好き?他にもあるから遠慮なく言って」
ぽかんとしてしまって言葉が出ない。
確かに、めめは少し前に『次のオフに指輪を買いに行こう』と言っていた。
でももっと、散歩がてら路面店を見て回るような気軽なのを想像してた俺にとっては、まず今の状況を飲み込むことから始めないといけなかった。
呼吸を整えて、一度全体を眺める。
華奢なデザインが多いけれど、宝石がついているから存在感がある。
それから1つずつじっくり見る。
これは違うかなと思うものがなかったのは、めめが俺の事をよく理解してお店の人に伝えてくれたからなんだろう。
そう思うと、こうして見ているだけでも多幸感で胸がはち切れそうだった。
💚「これが一番好きかな」
その中の1つ、一粒だけ石がはまったデザインを指す。
担当の人が手渡してくれたけど、指に通してみるだけで何だか緊張して手が震えてしまう。
めめが優しく笑いながら手を添えてくれる。
🖤「阿部ちゃん、緊張しすぎ」
💚「だってこんな経験なくて……」
🖤「ふふ、貸してごらん」
めめが代わりに指輪をはめてくれる。
アンバサダーをしているブランドにはアクセサリーもたくさんあるから、こういう場には慣れているんだと言う。
サイズもぴったり。
🖤「良かった、ぴったりだ」
同じタイミングで、めめも安堵したような声でそう言った。
担当さんが言うには、この場でサイズを測って出す事もできたのだが、めめは相談をしてきた時点でサイズも既に指定していたらしい。
俺の指のサイズなんて話した事なかったのに。
💚「めめすごい、嬉しい。俺これにする」
🖤「うん、よく似合ってる。いいと思うよ」
嬉しくて嬉しくて、箱にしまってくれようとするのを止めて、このまま着けて帰ると伝えた。
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喜んでるあべちゃんかわいい!