コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
昔々のある村に、心優しい姉を持つ、小さな少年が住んでいました。
少年と姉はいつも一緒で、心からお互いの事を気にかけ、信頼していました。
でも、幸せは、硝子の上に乗っていることに気づいた時にはもう、手遅れ。
少年の姉は、バケモノ の手で、殺されてしまいました。
少年は、姉の仇、いや、まだ壊れていない幸せを守る為に、バケモノを狩る組織への入隊を目指しました。
少年は、育手 という人の元へ行き、組織へ入るためへの第一歩を踏み出しました。
同じ育手の元で育った獅子色の髪の兄弟子と共に修行を積み重ね、組織へ入るための最終試験へ向かいました。
最終試験の前から少しずつすり減っていた少年の心はもうすっかりボロボロで。
少年は1日目にうっかり気を失ってしまいました。
気づいた時には、見知らぬ天井。
獅子色の少年はもう、いませんでした。
少年の心はぽっきりと折れてしまいました。
獅子色の少年は、少年の唯一の親友だったのです。
少年は、もう笑えなくなっていました。
そんな少年が、21になりました。
少年はまだ無表情のままです。
でも少年は密かに恋心を寄せている人物が。
……それはまた別に。
時は進み最終決戦。
バケモノ を生み出した始祖との対面。
仲間と協力して代わる代わるで攻撃を繰り出します。
少年らはたくさんの仲間を失いながらも何とかバケモノの始祖を打ちました。
そして少年は、所帯を持つことはありませんでしたが、同僚、弟弟子と共に幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
と、幸せENDで終われると思いましたか?
……寿命です。
そう、彼らは 寿命を前借りしている んです。
前借りをしたものは、25までしか生きられない。
彼らは酷く落ち込みました。
そして、少年の最期の日。
少年は、瞼を閉じました。
少年は、姉の姿が浮かぶかな、などと考えていましたが、少年の前に浮かんだのは1人の、蝶のような同僚。
少年は、蝶のような彼女 に恋心を抱いていたのでしょう。
少年は、気持ちを伝えず、挙句の果てに冷たくあしらっていたことに後悔しました。
少年が会いたがっていた蝶の彼女は生前の姉に、雰囲気がとても似ていました。
会いたかったのは、蝶の彼女なのか、優しい記憶の姉なのか。
それは誰にも分かりません。
そして、少年は静かに息を引き取りました。