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振り返ると教室の入り口に男が立っている。…先生だろうか。
「生徒を取り合う修羅場なんて初めて見た〜」
「えっと…」
「君が噂に聞く成瀬ちゃんか〜…あ。僕は遊宵理人《遊宵理人》で、物理教師やってます☆」
戯けた口調でそんな自己紹介をしつつ物理教師はへらりと笑った。
綺麗な二重の目に完璧なラインの鼻、唇は薄く張りがあって容姿端麗を体現したようなビジュアル。加えて、目元のホクロと柔らかな黒髪に無造作についた寝癖は独特の色気を醸し出している。なんというか…モテるんだろうなーという感じだ。一見、笑みを絶やさない様子然り。
「…どうも」
「あは。初めましてじゃないんだけどね」
物理教師が言うことには、4月の始業式の次の日の放課後にこの教室で会話していた担任と私を見かけたらしい。その日は初めてここで恋愛助言授業(?)をすることになった日であり、星座の相性がうんたらかんたらと言って一方的に担任に求婚された日でもある。…あ、教室を飛び出した時にぶつかりそうになったあの人か。顔までは見てなかった。
「そんで、今日通りかかってみたらこの修羅場だよ〜この教室の放課後面白すぎでしょ」
「修羅場…?」
「成瀬ちゃんが参加するなら、僕も歴史ツアー参加しようかな」
「はぁ」
「よし、決まり!……あ、そうだった。急遽で職員会議あるから和住と七宮呼びに来たんだった 」
場を掻き乱したようにも、取り持ったようにも見えるこの物理教師は平然とその締め括って、そのまま軽く手を振ると教室を出て行ってしまった。
「参加用紙に保護者のサイン貰ってくるように。気をつけて帰れよ、成瀬」
そう言い残した七宮先生も続いて教室を出ようとするので、私は会釈して見送った。