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中 人間
話はすんなり聞かせてくれた、容姿のこと、顔と手の血痕のこと、あの火事のこと。
「なんで男の子の格好をしているの?」
「母親に無理矢理させられているんだ、口調も、髪型も、制服も、全部あの人が決めた。」
「私と、同じだね。」
「、、、何が同じなんだ。」
「私も女の子の格好をさせられてるよ、無理矢理ね。私は男の子の格好をしたいんだ、口調も、髪型も、制服も。私は、女の子なのに。ごめん可笑しいよね、忘れて。」
「可笑しくなんかない!、、本当に、可笑しくないよ。」
「ふふっ、ありがとう。」
なんで血痕が付いているのだろう、今更気になりだした。まあ大体の理由は、予想できるけど。
「なんで、血付いてるの?」
「これは、、」
「ごめん、聞いたらダメだった?」
「、、、母親、殺したんだ。」
「やっぱりそうだったのね。」
「わかってて聞いたの?」
「まあね。」
「卑怯な奴。」
そりゃわかるよ。本人は気づいてないかもだけど、顔は強ばってて、手も足も震えてた。まるで産まれたての子鹿みたいに。
「ねえ、その血、どうするの?」
「どこかで洗いたいけど、、、」
「それなら良い場所があるよ、着いてきて。」
あそこは自然の匂いが沢山して、落ち着く。
少し肌寒い空気に、静かな虫の声。
「ここだよ、川だったら洗えるでしょう?手伝ってあげるね。」
「ありがとう。」
「洗ってる間は私の上着貸してあげる、夏だから昼間はまだ暖かいでしょう?」
「、、、うん、ありがとう。」
ジッと洗濯物が乾くのを待つのは退屈だから、少し散歩をしよう。と誘ったら、すんなりいいよと言ってくれた。
住宅街を見たら、火事が落ち着いてきていた。結局あれはなんだったのだろう。
「火事、だいぶ消えてきてるね。」
「、、、」
「どうしたの?」
「あの火事、俺がやったんだ。」
「そっか。」
「怒らないの?なんでそんな事したんだーとか。」
「別に怒らないよ、私に迷惑かかってないし。それにちょっとそうかもなーって思ってた。」
「やっぱり卑怯な奴だな。」
「勘がいいっていいなさいよ。」
中 エルフ
容姿のこと、母親を手にかけたこと、あの火事は俺がやったこと。全部話した。
否定せず、肯定もせず。ただ黙って、聞いてくれた。
軽蔑されて、罵声を浴びて、通報されるかと思ったのに。調子が狂う。
こいつも環境が同じらしい。だからなのか気が合った、初対面なのにずっと前からの親友かのように居心地が良かった。
散歩をしようと誘われた、追われない為にもここを離れた方がいい。そう思って了承した。