テラーノベル
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💙side
忌々しい失恋の夏が明け、秋が来て、冬が来て、また春が来る。
俺はと言えば、自堕落に毎日を過ごし、面白くなり始めていた筋トレも一切止めてしまった。佐久間に会うのもおっくうで何となく避けるようになった。ふっかさんから事情を聞いているっぽい佐久間は、それでも俺には何も言わずに毎日を明るく元気に楽しく過ごしているようだ。
卒業式の日。
胸に祝いの花を付けて座席に着いていると、手紙が回って来た。
💙「佐久間から?」
開くと、佐久間の好きなアニメのメモ紙に、以下の文章が書いてあった。
🩷『らいひんせき、見てみろ』
らいひんも漢字で書けねぇのかよ、と思いながら佐久間を見ると、しきりに後ろの席を指差している。振り返ると、親たちに紛れて、スーツ姿のふっかさんとひかがいた。
💙「え、なんで……」
思わず声が出た。
ふっかさんは人懐こい笑みを浮かべて手をひらひら振っている。隣りにいるひかは緊張顔だ。ってか、あれからメッセージもやり取りしてないし、連絡先もブロックしたから久々に見た。え、平日だぞ、仕事は?色んな疑問が同時に頭に浮かぶけど、とにかくどきどきして、何も考えられない。
卒業証書を受け取った瞬間も、教室に戻って、その日最後のクラスメイトと話したことも何ひとつ頭に残らなかった。
諸々の用事を終えて、校舎を出た。
💙「そうだ、連絡…」
慌ててスマホを取り出し、アプリを立ち上げる間もなく、大好きな人の声が響いた。
💛「翔太」
💙「ひか!!!」
走って、抱き着く。
ひかは、俺を軽々と持ち上げると、唇にキスをした。
🩷「にゃはーーーーー」
佐久間の大声を筆頭に、校庭で歓声が上がる。
やべぇ、学校だった。てか、俺いま制服だし。高校生ってバレバレじゃん。
でも、嬉しくて、ひかの逞しい身体に回した腕は離さなかった。
💙「どうして…」
💛「翔太、卒業、おめでとう」
ゆっくりと地面に着地すると、俺とひかは手を繋いで、逃げるように校門から飛び出した。
コメント
4件
ドラマーーー✨✨✨
素晴らしいアシスト💜🩷