MSBYのホームゲーム。今日はこっそり“応援席の一番後ろ”に座っていた🌸。
侑には完全サプライズ。
侑の試合前ルーティンは知ってるけど、今日は連絡もしない。
(試合前)
「……なんか変やな。落ち着かん。なんやろこの感じ。」
『侑、お前珍しくソワソワしてんな』
「してへんし。……してへんけど、なんか、なんかや。」
いつもなら自信満々で笑っている侑が、今日はどこか落ち着かない。
理由は簡単。
“奥さん”の気配だけはなぜか敏感に察知する男だから。
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◆試合開始
侑のハイブリッドサーブが今日も炸裂。
観客がどよめく。
『今日も宮侑選手、キレてますねぇ!…あれ?なんかいつもよりテンションが高い?』
プレーは完璧。けど――
侑は集中しながら、観客席にちらちら視線を向けていた。
そして、セット間でふと顔を上げた瞬間。
侑の視線が、後方席の🌸とぶつかる。
「……ッッ⁉︎」
目が合った瞬間、侑の顔がわずかに赤くなる。
あの侑が、だ。
最終セットが始まった途端、侑は更にプレーのレベルを上げてきた。
『おーおー侑!?今日キレッキレやん!!!』
「今日ははよ終わらせたいんや。俺のこと待ってる人がおるし!!!」
次々に点を稼いでいく。
『キャーーーー!!?!?』
『侑ー!!!!』
ピッーーーーーー!!!!!!
『この大会を制したのは、ブラックジャッカル!!!!!!!!!!』
会場を包み込むような歓声が響いたが、侑には聞こえず、ソワソワしていた。
挨拶が終わった直後、侑はベンチを飛び出し、そのままスタンドへ一直線。
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「え、侑!?なんで!?」
侑は返事もしない。
階段を駆け上がり、そのまま🌸をぎゅうううっっ! と抱きしめる。
「…………来てくれてたんや。
なんで言わんの。言えって言ったやろ、絶対。」
低い声で耳元に文句を言いながら、でも抱きしめる腕は震えている。
「……会いたかった。もう無理。
試合途中で見つけて、集中できへんかった。帰ろ、一緒に。」
「その割にはキレッキレだったでしょ?仕事放り投げんのやめな!?みんなこっちみてるよ!!!?」
「いやもう無理。我慢できへん。
奥さん見つけたら余裕飛ぶに決まってるやろ。」
『キャーーー!!!!!!』
『奥さんガチで可愛い!!』
『侑の顔ヤバいって!!』
『み、宮選手??一旦コートに……戻っていただけますか……?』
『侑〜!!!プロとしての自覚持てよぉ!?』
『侑くん!後で話聞かせて!!』
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マジで侑かわよッ