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「よくやった。」

ベンチに戻ると、監督が俺を褒めてくれた。

「ありがとうございます。」

「おいおい!もっと喜べよ!監督が褒めてくれるなんてめったにないんだぞ!」

純さんが俺の肩を抱きながら言う。

「ナイスプレーだった。」

クリスさんも微笑みながら俺を見ている。

あぁそんな顔で俺を見ないでくれ。

あんなのたいしたプレーじゃない。

俺は俯き、バットとヘルメットを持ちベンチを出た。

「倉持、絶対塁でなね。」

亮さんの声が聞こえたが、俺は聞こえないふりして打席に入った。

「プレイ!」

主審の声がグランドに響く。

ピッチャーは2年生。一試合目。東さんが三振に抑えられたピッチャー。右のサイドスローで右バッターは背中からボールが来るように見えるくらい横の幅を使ってくる。

グッ

バットを握る手に力が入る。

シュッ

そこそこ早い球がアウトコースに入る。

「ストライクッ!」

審判の声がグランドに響く。

二球目、大きく外れてボール。

三球目、一球目と全く同じコースにボールが来る。

俺は思いきりミートしてレフト前に運んだ。

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