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「…ね~らん?」
次の日早めに教室に着いたはずが先に来ていたなつに話しかけられた。
登校しているのは私となつだけ。
何がしたい?
「…なに?」
「昨日のこと、説明してくれる?」
いつもとは違った、少し嫉妬の声。
トーンは重い。でもこれを今話せばなつとは…
「…じゃああたしと取引しよっか?」
取引?
「あたしの許嫁になって。」
…そんなこと出来ない。
だって私の立場はいるまより下でありながらなつがその上に立てることはほとんど、
「そうだな~…まずはあのいるまとか言うやつ…、そいつに囚われてそうだし…。」
「優しそうに見えて、実は脅されてたり?」
なつの言うことはほとんど図星だ。
親が決めた“許嫁“な私は、いるまに事ある事に“許嫁“なんだから、なんて言われてた。
「今日は一緒にいるまの家に行こう。」
何言って…、んなの、追い出されて終わりだよ?
「…怖い?」
怖いよ、当然。でも今は何を考えてるか分からないなつの方が怖い。
「…大丈夫だよ、らんが思うように生きて欲しいだけ。」
そう、いつもと同じ優しい声で言う。
「あたしを信じて。」
ずっと信じてるよ…。
その会話には、私の声が入る隙はないほど、なつの優しさとこれからの恐怖で埋められた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「俺の家に行く…?」
昼休憩、いるまにそう伝えた。
「ぁ~…まぁいいけど、」
「らんまだ俺の家知らないだろ?」
「なら今日も一緒に…」
そこまで言って、私は“なつと帰る“
そう告げた。いるまが一瞬怖い顔をした。
「…それどういうことかわかってる?」
「ただのクラスメイト程度にしか思われないよッ…」
「…なら…なつ、らん、俺で帰ろ、それで許す」
いつも上からな君に、そう言われたら出る隙はない。
「はい。」
いつも通り指示に従って生きるしかないの。
その後の未来がもし崩れても、今まで通りだから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「なぁお前さ、らんからもう聞いてるんだろ?」
下校中、沈黙が続く中いきなりなつにそう問いかける。
「…なにが?」
なつはあまりいるまとは話したくない雰囲気で聞き返す。
「だから、俺とらんの関係。」
そう言うと、“知ってる“と返すがその奥に深い意味を感じた。
「知ってるなら、その関係切って別れてくれねぇかな?」
いるまがそう提案すると、なつは睨みつけて、言った
「出来るならね。」
「ていうかお前だよ?切る方、逆だってw」
何を考えてるかは分からないけど、
言い分的に私といるまの関係を切る、、、?
そんなことら出来るのかな?
ただただ不安が積もった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ただいま~」
私の家より遥か大きな家にいるまがそう呼ぶといるまの両親が駆け寄りおかえり~と言い、
メイドや執事がおかえりなさいませ、と会釈していると、
「…あれだけでかい口を叩くからもう少し儲かってるのかと。」
そうなつが口を開いた。
何言って…、この家系は、財閥家で…。
単なる私みたいな国の姫でしかないところとは違う。
でもいるまの両親の反応は異様だった。
「……何して、母上、、?」
いるまも状況を理解していない、
執事、メイド、両親はなつに深々と挨拶をした。
「じゃ、改めて…らんといるまにご挨拶を」
なつがそう言って、
「…夏城 暇です(なつじょう いとま)」
その名前は誰もが知る、日本のお嬢様だった。
「まぁ皆からは暇や、那津なんて呼ばれておりますからお好きに呼んでね。」
「…ただ…。」
「らんは貰います。」