テラーノベル
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放課後の校舎裏、どんよりとした曇り空の下。
呼び出された絵名は、不安げに瑞希の顔を覗き込んだ。
「瑞希、急にどうしたの? 昨日の通話も変だったし、SNSだって荒れてるでしょ。一人で抱え込んでない?」
スマホの画面では、今も絵名への心ない言葉が止まらない。
(ボクを泣かすのはいい。これ以上絵名を巻き込むわけにはいかない……)
瑞希はわざと、鼻で笑ってみせた。
「あはは。えななんって、本当に何も分かってないんだね」
「え……?」
瑞希は一気に、喉の奥に溜まった「毒」を吐き出した。
「絵名のことなんてずっと昔から、25として活動してたときから大っきらいだったんだ!!!」
「な、何言ってるの……? 急に……」
「ボクと一緒にいても、絵名は自分だけ安全地帯から口出しして! 傷つかない場所から『力になる』なんて、偽善もいいところだ!ずっとボクの幻想だけ見てればいいんだ!」
瑞希は、自分が自分を呪う時に使う「幻想」という言葉を、あえて絵名に投げつけた。
絵名の瞳から、大粒の涙が溢れる。
その瞬間、瑞希の心臓は音を立てて砕け散ったけれど、もう止まれない。
「じゃあね、えななん。あーあ、せいせいした!」
瑞希は絵名の表情を見る前に、弾かれたように走り出した。
『君を泣かすから、だから一緒には居れないな』
瑞希は夜へと変わりゆく街の中へ、ただ必死に逃げ続けた。
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