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「…」
寝れない。
いつもの環境じゃないからか、よくわからないが目が覚めて仕方ない。
隣の勇人を見ると暗闇の中でも胸が上下しているのが分かり、すやすやと寝息を立てていた。
仁人はそっと上半身を起こした。
胸がどきどきする。
鼓動が高鳴っている。心臓の音が妙に大きく聞こえる。
これってマズいやつ?
そう思った瞬間、ますます胸が苦しくなるのを感じた。
やばい、助けを求めなきゃ。
「、っはやと、はやと…!」
上手く声が出せず絞り出すようなかすかな声だったが、それでも勇人の耳には届いたようだ。
ぴく、と体が反応したかと思うとガバッと体を起こし仁人の方を見る。
「どうした、苦しいのか?」
「うんっ、なんか、心臓っうるさい…身体が熱い…」
はぁはぁと肩で息をしながら必死に息を吸い込む。
涙目になりながらぶるぶると震える。
勇人は苦しそうな仁人の身体を抱きしめ、落ち着かせるように背中を撫で続けた。
仁人の吐息がかかる。
身体が熱くなっているのを感じる。
両手でぎゅっと握り掴まれた服が、嬉しい悲鳴を上げている。
もっと縋って。
もっと苦しんで。
もっと俺を必要として。
もっと、もっと。
「はや、とっ、ねぇ、へんな感じがする…!」
「うん…うん、大丈夫だから、大丈夫」
そう言いながらきつく縋る仁人の背中からお尻の方へ手を滑らせる。
「っああ!…へっ?」
そこにあるはずのない感覚。
先ほどまでの苦しみは、突然の刺激に一気に吹き飛んだ。
勇人は仁人にばれないよう口角を上げると、さらにそこに生えているものを撫でる。
「いや、やだって…!何、これっ」
「仁人…もう苦しくない?大丈夫?」
自ら聞いておきながら執拗に撫でるその感覚に、仁人は今まで感じたことのないゾクゾクした刺激を下半身に感じていた。
おかしい、おかしい、おかしい。
こんな感覚知らない。怖い。何を触ってる?自分はどうなってるんだ。
頭の中をぐるぐると疑問が駆け巡り、仁人は意を決して自らの手を刺激の根源へ伸ばした。
「…なに、これ…」
ふわっと触れたそれは、長い何か。
これはもしかして。
「仁人、可愛いよ」
可愛い?なにが、何をみてそんなこと言ってんだ。
そこにあったのはきっと尻尾だろう。
ついに、猫化が目に見えて進んだ。
しかもこんな形で。
「勇人、もうやだ、触らないで」
必要以上に刺激に感じてしまい、仁人は降参するかのように力なく伝えた。
しかし、その姿は逆に勇人を刺激する結果となった。
「だーめ、こんな所で終われないよ」
「…何の話してんの?ただ手を離してほし…っ!」
仁人が言い終わる前に勇人は仁人のパジャマを脱がせた。
少しずれた下着も遠慮なく下ろし、やや乱暴に押し倒すとそのまま足から引き抜いた。
「っ、勇人!ちょっと、何ばかしてんだ!」
仁人は倒されながらも手と足をばたつかせて抵抗する。
しかしあまりにも力の差が大きすぎて、勇人からすると形だけの素振りにしか見えなかった。
かわいい意中の相手が、自分を誘うための戯れ。
このシチュエーションを引き起こした張本人でさえ、目の前の魅力に自我が保てなくなっていた。
「っ…わりぃ仁人、止められねーから」
そう言うとバタバタと動く両手をシーツに沈め、ずっと触れたかった唇を奪った。
一瞬びくっと身体が跳ねたかと思ったら唇に痛みが走った。
「…噛んだ?」
ほのかに鉄の味がする。
じんわりと熱くなるそこに、勇人はますます興奮する。
「マジで猫になったんだな。それっぽいこと言ってよ」
「この野郎、何がしたいんだよ!お前までおかしくなったのか?」
お前までおかしくなった?
いや、ハナからおかしいのはこっちの方だ。
可愛そうな仁人。
俺なんかに狙われて。
こんな姿になって、今から痴態を晒すんだから。
砂糖
90
コメント
1件
うわ、第5話で一気にガラッと空気変わったな…!「始まり」ってタイトルがめっちゃ効いてる。仁人の猫化がこんな形で進むとは思わんかったし、勇人の「止められねーから」の台詞にゾクッとしたわ。これからどう転ぶのか続きが気になる🔥 ビビりながらも書いてる蝉の抜け殻さん、めっちゃ刺さるからこのまま突き進んでほしい!