ノイズを止めよう
ロボは人類復興施設に到着した。
人類復興装置に近づくと、ノイズと合体したファクトリーAIの端末達の集合体のようなものがあった。
“やっぱり きたのか
とめにきたのだろうが そうはいかない
あのこは うちのこだ
かえしてもらう”
ロボは必死にノイズに抵抗し、攻撃を続けた。
“・・・どうして
おやがこどもといたいと ねがっただけなのに
それがかなわないなんて・・・
・・・
あなたは おやにもまけないくらい
むすめを あいしてくれていた
それはわかっている
・・・
さいごの おねがいをきいてくれ
これを あのこに・・・”
ノイズが消え、その跡には何かが残っていた。
それは謎のレシピだった。
テラリウムでファクトリーAIに何のレシピか解析してもらうことにして、帰還することにした。
[ロボットさん、おかえりなさい!
ぜんぶ・・・終わったんですね
うう・・・よくやってくれました・・・
ロボットさんのおかげで、トリコちゃんも、このテラリウムも、ついでに世界もすくわれました]
ロボは謎のレシピをファクトリーAIに渡した。
[トリコちゃんの両親が最後にこのレシピを・・・?
なんでしょうか・・・レシピからなにができるのか、ちょっとよく分かりませんね・・・
実物があれば分析できるかもしれません
作ってみてもらえますか?]
〈頷く〉
[特殊資源としてトリコちゃんに生えているキノコの欠片が必要なようです
トリコちゃんを撫でている間に隙を見てつまみとってしまいましょう]
ロボは屋敷に戻って、元気がないトリコからキノコの欠片をつまみとった。
そして、両親から貰ったレシピ【TO11-CO】をクラフトした。
[お、できましたか
薬品・・・のようですね
では調べてみますので少しお待ち下さい]
[う〜〜〜〜〜〜ん
だめだ〜〜〜〜〜〜〜、お手上げです!
こんな薬品、これまでのどんな記録にも存在した履歴がありません
完全に正体不明の薬品です・・・
トリコちゃんの両親はこれをトリコちゃんに与えるように言ったのですか?]
〈頷く〉
[いや〜〜〜・・・
こんな正体不明の薬品をトリコちゃんに飲ませられるわけ・・・
あ、そうだ!
もしかしたら薬品の正体、調べられるかもしれません
はい、このレシピはVR世界のトリコちゃんの両親が作ったものと考えられます
現実世界にやってきて、そして消滅したトリコちゃんの両親は・・・
恐らくVR世界からも消えてしまっているでしょう
でも、もしかしたら、このレシピに関する記録が何か残されているかもしれません
VR世界のトリコちゃんの両親が居たところを調べてみましょう!]
ロボはVR世界に入り、両親が居たところを調べてみた。
そこでトリコの両親が残した記録を見つけることができた。
「我々が仮想世界の住人だったとは・・・
例えそうだとしても、この世界を認識している自我は存在している
・・・
娘を失ってしまった・・・
何をしても取り戻すと誓ったのに・・・
・・・
あのロボットを利用すれば、外の世界にアクセスできるかもしれない
娘の生きている世界に・・・
・・・
あとは実行するだけだ
野良ロボにはお世話になったのに、悪いことをするな・・・
しかし、どんなことをしてもあの子を取り戻すと誓ったんだ
例え現実の身体を捨てることになっても
本当の両親と暮らすほうが良いだろう
トリコもきっとそれを望んでくれるはずだ・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
もし・・・もしも我々の計画が上手く行かなかったときは、こっちの世界で娘を失う前に死にもの狂いで開発したあの薬品を野良ロボ君に託そう
薬品そのものを現実世界に持っていくことはできないが、レシピならただの知識なので持ち出せるだろう
あの薬品を使えば、娘を元の体に戻せるはずだ・・・
・・・」
[トリコちゃんが・・・
普通の人間に戻れる・・・
・・・
うーん・・・
わたしたちにとってトリコちゃんが、普通の人間と同じ体の作りをしているかどうかは大して重要なことではないですよね
わたしたちは、トリコちゃんが人間だからという理由で大切にしてきたのではなく、トリコちゃんという存在そのものを大切に思うようになったから大切にしてきたのです
だから、トリコちゃんがいまのままだろうと人間になろうと、どっちでもいいことなんですよねぇ
でも・・・もしかしたら・・・
いまトリコちゃんを人間に戻したら、長生きできるようになるかもしれません
トリコちゃんが今にも死にそうなのは、トリコちゃんの肉体と混ざり合っている菌糸細胞の老化が原因です
この薬品で人間に戻れるならば・・・
菌糸細胞の老化から逃れられるということです
はい、もしかしたら、人間の寿命分は生きられるようになるかもしれません
でも、そうしたらもう二度とテラリウムには戻ってこられないですね・・・
そんな事をしたら汚染で死んでしまいますからね・・・]
ファクトリーAIは少し寂しそうにロボを送り出した。
グッタリと治療室で寝ているトリコに薬品を投与して貰った。
数日後には生えていたキノコが全て抜け落ち、右目は無いものの人間に戻った。
[トリコちゃん・・・お屋敷で、幸せになってくださいね・・・]
ファクトリーAIは泣きながらトリコの門出を祝った。
執事たちも、普通の人間と同じくらい生きられるようになったことを大変喜び、夜中まで酒を煽って喜びあった。
その後、大切なトリコちゃんを可愛いまま保存しておきたいとぼやいたファクトリーAIの発言から、悪魔と契約させようと画策する執事が出てきたらしい・・・。
ーーHappy End
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