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拝啓、愛しの弟へ。
私は貴方が喜ぶ顔が好きでした。
花が咲くような笑みを浮かべた、貴方の顔が。
綻んだ貴方の顔が。
笑顔で『お姉ちゃん』と呼んでくれる貴方が、可愛くて仕方がなかった。
だからこそ、生きてほしかったのです。
貴方にどうしても生きてほしかった。
置いていってごめんなさい。
貴方は優しいから、私たちのことをずっと忘れないで、泣いてくれる。
私事のように怒ってくれる。
お父さんに向かって怒っていましたね。
空からちゃんと見ているのです。
それと、知っていますか?
貴方が思えば思うほど、私とお母さんに花が落ちてくることを。
カランコエや、ハボタン、アジサイ、カーネーション。
とめどなく落ちてくる花の意味は、なんとなくわかってしまいます。
貴方と一緒に、花言葉を調べていたから。
昔はパンジーがよく落ちてきていましたが、最近は減りました。
同級生たちや先生方のおかげでしょうか。
それでも落ちてくると、ああ一人にさせてしまったと漠然と感じます。
ごめんね。
もし、貴方が復讐を果たした時。
貴方は、どうするのでしょうか。
ちゃんと生きてくれますか。
死にたくなったとしても、私たちの方にまだ来ないで下さい。
もっと長生きして、沢山笑って生きて下さい。
お姉ちゃんは、それだけでいいのです。
もう、貴方の背を押してやることも出来ないけれど。
それでも私は、貴方の幸せを願います。
最後の、お姉ちゃんからの届かないお願いです。
コメント
1件
拝啓、迅へ。──もうタイトルから泣きそうでした。お姉ちゃんが弟に宛てた手紙形式、胸に刺さります。花が降ってくる描写が美しくて切なくて、弟が想えば想うほど花が増える、その仕掛けが本当に好きです。カランコエやハボタン、ひとつひとつの花言葉に込めた姉の想いを想像するだけで苦しくなる。最後の「届かないお願い」が、あまりにも優しくて、ただただ読み終えたあと静かに余韻に浸りたくなりました。続き、気になります。