コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
(パチッ)
という音で意識が覚めた。
ゆっくりと目を開ける。
…。
ここは、確か。
「__レイ!」
私の名を呼ぶ 聞き覚えのある声。
「リー…ニエ…?」
「良かった…帰ってきてくれて」
かけられた布越しに、リーニエの体温が伝わる。
帰って…これたのか。
アークトゥルス学園の 治療室。
救助が 間に合ったのか…。
死の恐怖からの解放により 涙が零れる。
でも
…おかしい。ついさっきまで、あの遺跡にいたのに。
なぜ帰ってこれたのかはわからないけど、
幸い記憶は鮮明だ。
あの巨獣に攻撃される瞬間 私は球体に触れた。
(パチッ)
という音の後、目を開けると 治療室に…。
「…また会えて良かった リーニエ。」
生きて帰ってこれたのが嬉しい、
けど、懐疑は残る。
忘れるはずもない。
首元に 大爪を振り下ろす風圧が 伝わる緊張。
…できたら 二度とは味わいたくはないスリルだった。
「そうだ、あの魔導器は__?」
あの球体を見れば、何か思い出すかもしれない。
「え…魔導…器?そんなの 持ってなかったと思うけど…」
無垢な顔を 疑問の表情に変え リーニエが言う。
そう…か。幻覚、なんてことはないと思うけど、
転移系の魔導器だと考えれば、辻褄が合う。
接触したことで学園に転移され、疲弊していた私はそのまま気絶した…。
でも、ただの転移魔導器が あんな大層なダンジョンの至宝なんてこと、あるのか?
どちらにしても、救助が間に合うような状況じゃなかったから、あの魔導器の作用だと考えるのが自然だ。
…まあ、帰ってこれたのだから それが1番だ。
理由なんて、後から考えればいい。
不思議と体の状態はとてもいい。
「心配してくれてありがとう。…体は、もう大丈夫そう。
行こう、リーニエ。」
ベッドから体を下ろす。
「…うん!あ、今日の魔法環境学は、
ダンジョンの講義だって!」
ダンジョンか。…そうだな。
今日の講義でも、何か気付けることがあるかもしれない。
2人で話しながら、治療室を後にした。
「ああ、そういえば__」
あの石板にかかれていた文字は
封印魔術の言語だったな。