テラーノベル
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そっか〜、翔くん振った理由わかった。愛斗くん自身持って欲しい!!!それは変じゃなくてあたりまe))殴 とにかくマジで今回もいい作品でした!!!!!!
[愛斗 Side]
俺は小学生の頃、好きな子がいた。1年生の頃から仲が良かった男の子。この気持ちは普通だと思っていた。みんなが異性に恋をするみたいに同性に恋をするのも普通のことだと思っていた。小学4年生の春。誰もいない教室で俺はその子に気持ちを伝えた。
「ねぇ将人。俺ね、将人の事好きなんだ」
「どうしたの急に。俺も好きだよ。俺たち、親友でしょ?」
「いや、そうじゃなくて…将人と付き合いたいって思ってるの」
「…は?」
見たことない顔だった。軽蔑してるってすぐに分かるような顔。その顔で続けて言った。
「キモイんだけど。もう俺に話しかけんなよ」
そう言って将人はその場を去っていった。
「あ…」
“キモイ”か。俺って変なのかな。
次の日の朝。俺が教室に入ると、教室がシーンと静かになる。
「来たよ。変態愛斗」
「男が好きな変態愛斗くん、おはよ〜」
そう言ってクラスメイト達はアハハと笑う。
俺は下を向いて自分の席に座った。教科書を机の中にしまおうとしたら、なにか紙が入っている事に気がついた。
俺はその紙を机の中から出した。その紙には様々な文字が書かれていた。
“変態” “キモすぎ” “ホモ”
そんな言葉がずらりと並んでいた。
胸がぎゅっと苦しくなる。息もしづらい。俺はみんなと違うんだね。
この日から俺は虐められるようになった。悪口は毎日言われたし、普通に歩いていたら、足を引っ掛けられたりもした。辛かった。苦しかった。俺は先生に相談した。先生は俺の話を親身になって聞いてくれた。
ある日、保護者会で先生がお母さんにいじめのことを伝えてくれた。俺からは言いづらくて。
そしたらお母さんは「そうですか」と一言だけ。
保護者会が終わって車に乗ってからお母さんは言った。
「大丈夫。お母さんは愛斗の味方だよ」
ホッとした。お母さんは俺の事を分かってくれたんだ。
この時はそう思っていた。
だけど、お父さんは俺の事を受け入れてくれなかった。俺のことを”変”だとか”頭がおかしい”だとか言っていた。
お母さんにも”お前の育て方が悪い”なんて言って、2人はよく喧嘩するようになった。
そして、小学6年生の春に2人は離婚した。
俺のせいで家族が壊れた。俺はやっぱり”変”なんだ。
俺はお母さんと暮らす事になった。俺はお母さんに謝りたかった。俺のせいでお父さんと離れることになってしまった事を。
「お母さん。ごめんなさい。俺のせいでお父さんと離婚する事になっちゃって」
「ううん。いいの。お母さんは愛斗が一番大切だから」
嬉しかった。俺の事を愛してくれる。大切にしてくれる。
お母さんは俺の味方なんだ。
安心して涙が出た。そんな俺をお母さんは抱き締めた。
「大丈夫。愛斗の”病気”はきっと大人になったら治るよ」
──病気。
そっか。俺はやっぱり変なんだ。ごめんね。お母さん。
俺、病気が早く治るように頑張るから。お母さんが味方でいてくれるなら俺は何も怖くないよ。
俺の病気はみんなに迷惑がかかる。だから、嘘をついてでもこの病気の事は隠さなきゃいけないんだ。
俺は学校に登校して、クラスが違う将人に会いに行った。廊下に呼び出したら、将人は迷惑そうな顔をしていた。
本当は場所を移して二人で話したかったけど、将人は2人になりたくなかったみたいだから、俺はその場で言った。
「ごめん。今更だけど、将人と付き合いたいってやつ、ただの冗談だから。こんな大事になると思ってなくて。ふざけて言っただけだから気にしないで」
将人は俯いた。
「そう。俺こそごめん。キモイとか言って」
「大丈夫だよ。気にしてないし」
そう言って無理やり笑顔を作った。
将人が俺の言葉を信じてくれたかは分からない。
でも、この日から俺は軽蔑した目で見られることは減っていった。
中学に上がってからも俺をいじめる人はいなかった。
俺は普通を演じてたから。好きなタイプだって、”髪が長い子”とか”可愛らしい子”とかそれらしい事を言ってみんなに話を合わせていた。みんなといるためにはこうするしかなくて。
中学2年生の夏。学校で噂が流れた。ある男子生徒が男と付き合っているという噂が。
同じクラスの佐野冬馬くん。学校1のイケメンで、人気者。そんな彼が俺と同じ病気なんだ。
俺は親近感が湧いた。そして少し心配になった。病気がバレたらみんなからどんな扱いを受けるかを知っているから。実際陰口はよく耳にしたし。
ある日の帰り道で冬馬くんを見かけて、俺は思わず話しかけた。
「冬馬くん」
「何?」
振り向いた彼の顔はどこか寂しそうだった。
「大丈夫?」
「…何が?」
「あ…いや…なんか、元気ないから」
「別に大丈夫だよ。あんなの気にしてないし」
冬馬くんはそう言って、歩き出した。
“気にしてない”なんてきっと嘘だ。だって俺も将人に”気にしてない”って言ったけど、将人や他の人たちに言われた事を本当は凄く気にしていたから。本当はすごく傷付いたから。
俺は、冬馬くんの事を救ってあげたかった。
だから、歩き出した冬馬くんの横に俺は並んだ。
「あのね、俺も冬馬くんと同じなの」
「同じってもしかして、男が好きな事?」
「うん。俺も本当は男が好きなんだよね」
俺がそう言うと、冬馬くんは驚いたような顔をする。
「へぇ。意外。愛斗って清楚な子が好きだと思ってた」
「ううん。俺の好きなタイプは可愛くて元気な子かな」
「そうなんだ。俺と真逆じゃん」
「確かに。冬馬くんはかっこよくて落ち着いてるもんね」
「まぁ、別に落ち着いてはないけど…」
「あっ。かっこいいのは認めるんだ」
「それはまぁ、俺モテるし」
冬馬くんはそう言ってドヤ顔をする。
そんな冬馬くんを見て、俺はふふっと笑う。
「冬馬くんはすごいね。自分に自信があって」
「愛斗は自信ないの?かっこいいのに」
「えっ。俺、かっこいいかな?」
「かっこいいよ。俺と同じでイケメン」
「本当?冬馬くんにそう言われるとなんか自信つくかも」
「おっ。いいじゃん。その調子で自信持ちなよ」
「じゃあさ、俺と友達になってくれない?冬馬くんといたらなんか自分を出せる気がするんだよね」
「もちろんいいよ。これからよろしくね」
「うん。よろしくね。冬馬くん」
「いいよ。冬馬で」
「あぁ、うん。わかった。じゃあ、改めて。よろしくね。冬馬」
この日から俺達は友達になった。俺にとって初めての本当の自分を出せる友達。それが単純に嬉しくて、俺のモノクロだった日々がなんだかカラフルになった気がした。