⚠学パロ ⚠微シリアス
ーーー
満天の星空は
目を離すと何処かへと消えていく
ずっと、見ていたいのに。
「もぅ、やだ~」
机に突っ伏してぶすーっとうな垂れているコイツは、ガッチさん。
「勉強しねぇと卒業できねーよ。」
うっしーは笑い混じりにそう呟く。
「働けもしないよ~。」
場に合わせて小馬鹿にしているこの人はレトさん。
いつもと変わらないこの光景。
だけど今回はちょっと違う。
それは、テストが近いということだ。
テスト前では遊ぶ日もかなり減って勉強続きの日。ガッチさんは嫌々ながらも、うっしーは程よく。
レトさんは…多分、やってないんじゃない?
いつもへらへらしてるもん。
そんなレトさんを見ると俺も癒やしをもらえるのも、また事実。
「やりたくなぁーいぃー」
一番年上みたいなオーラがあるのに変なところだけ…………
ーーー
珍しく、皆で勉強会。
俺の家に集まることになった。
「よし、やろう!」
うっしーがどこから出てきたのか分からない妙なやる気を出して声を張り上げた。
きも。なんなんだよ………
しばらく喋りながらやっていると、だんだん口数が減ってきた。
顔を上げると皆が見える。
うっしーとレトさんはクスクス笑いながらも勉強を続けている。
楽しそうな二人を見るのは子供みたいで微笑ましい。
ガッチさんは真剣に写真集を読んでいる。
ん?
写真集…?
「あああああっっ?!?!?」
「うるっせ!!」
「ガッチさん!!!!」
「ん?何?」
平然とした顔でこちらを向いてくる。
「キヨ、いい趣味してんね~」
「さわんなっ!」
「どれどれぇ~」
「俺も見たいー!」
余計なのが二人も増えた……
「はあぁ……」
「これでテストバッチリだわ。」
うっしーがキメ顔でフンスと息巻いている。
「よかったね。」
皆、呆れた目でうっしーを眺めていた。
ーーー
テスト当日。
「うわぁぁあ!!国語だーー!!」
「嫌だぁ~…」
「じゃあさ、このテストの合計点が一番低かった人にジュースを奢らせるってどう?」
レトさんが前の恨みを晴らそうと提案を持ちかけた。
「お、いいじゃん。」
「負ける気がしねぇわ」
「レトさんまけるんじゃない?」
なんとも余裕まみれな会話をして、最初のチャイムが鳴り響いた。
えっと……………
は?誰だよこれ。知るかよ。
うんうんと頭の中で悩んでいる。困った。なかなか進まない。
どうしよう…。奢るはめになる…それだけは絶対に避けたいことだ。
馬鹿らしく考えを濁らしたり、ふわふわしていると、チャイムとは違う
別の音が聞こえた。
バタンッ
え?
「レトさんっ!」
隣を見ると床に倒れ込んでいるレトさんがいた。
救急車のサイレンがどんどん近くなる。
「レトさん、レトさん。」
心の中でしかハッキリ名前を呼ぶことはできなくて俺はその場で座り込むことしかできなかった。
「テストを行っていて下さい。」
その声とともにテストを再開する。
カツンッ
ペンが落ちてしまう。
あぁ、駄目だ。手が震えて動かない。
受け止めきれない現実に俺は動揺したまま残りのテストも受けたのだった。
ーーー
下校の合図とともに職員室へ向かう。
「レトルトさんは××××病院の565号室ですよ。キヨさん、仲良かったから行ってあげてもいいと思いますよ。」
病室の場所を聞くと俺達の仲を
知っていたからかあっさりと教えて笑顔で送り出してくれた。
急がなきゃ。レトさん。無事でいてくれ。
ーーー
病室へ向かう。病室の外では女の人が立って泣いていた。
レトさんのおばあちゃんだ。
「あ…の……?レトさんのおばあちゃん…?」
絞り出した声で尋ねると「キヨ君?」とあの人にそっくりな声で尋ね返してくる。
「はい。キヨです。」
「あいに…来てくれたの?」
「………はい。」
「ありがとう。…………けど、ごめんなさい。」
「レトルト…まだ、起きてないの……。」
は?なんだって…?
目を覚ましてない?
「…だからね……あの子の傍に、私じゃ多分力不足だから………………近くにいてあげてくれないかな?」
「ガッチマン君と牛沢君と一緒に…。」
「は………………い………」
ガラリとドアを開ける。
無機質な機械音。点滴が沢山。
けれど、生きている。
それだけで俺は嬉しかった。
胸を安心とともに撫で下ろすと髪の毛が視界に入る。
そういえば、泊まったときにきちんと触れてなかったあの髪の毛。
綺麗に閉じられた瞼の上に輝く光がかった栗色気味の髪の毛。
頬に生温い水が流れる。何回もその髪を撫でまわす。
俺はこんな状況だというのに笑ってしまった。
「ふはっ。レトさん、起きようぜ…?」
「後、一日待ってやるから。お願い。」
「頼むから……目を開けてくれ……よ?」
笑っているのか泣いているのかよく分からないほどのか細い声で呼びかける。
お願い、だから、さ。
ーーー
次の日はうっしーとガッチさんも来た。
レトさんの周りでいつも通りの話をする。
そして二人は寂しげな顔でかえっていった
ーーー
あれから三日が経った。
目を開ける様子もない、俺の愛する人。その思いも一方通行。
ふと、おぼろげな目でレトさんの手を見る。
ドキリと胸が高鳴ったのと同時に唇を寄せる。
ピタリと固まってしまう。
無理だ。嫌がることは駄目。
寝込みを襲うなんて………したい。
いぃ~や。ダメダメダメ。
相手を振り向かせてからじゃないとな。
────────
テスト前、集まったとき一番隈が酷かったのは?
勉強ノートがボロボロだったのは?
何処か不思議な雰囲気だったのは?
─────────
時折寝ているはずのレトさんは顔を歪めたり、笑ったり、ましてや泣いたりしていた。
なぜだろう。
ピクッ
つまらないことを考えていると
動いた。
「レトさん!」
彼は薄めだが目を開けて、笑った。
ーーー
「ご心配をおかけしました………」
「「「その通り」」」
倒れた理由はストレスや疲労。
三年の最期の期末だから力を入れすぎたのかもしれない。
よかった。そんな理由で。
ーーー
こんなことを思っちゃあれだけどさ。
あ、誰かに言ったら駄目だからね?
レトさんが目を開けて笑ったときの顔。
いつもと違っててさ
一番好きだったかもしんないわ。
コメント
4件
レトさァァァん!死んでなかったァァァ((((((((((